日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
Yale-New Haven Hospitalにおける精神科救急医療の実際
―とくに物質依存症への早期介入プロジェクト―
伊藤 敬雄大久保 善朗久志本 成樹川井 真横田 裕行
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2009 年 12 巻 3 号 p. 329-334

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抄録

Yale-New Haven Hospital救急医療部門(ED)への搬送患者は年間約10,000例,そのうち薬物使用者26%(うち42%が薬物依存症),アルコール飲用者45%(うち28%がアルコール依存症)であった。また,ED搬送患者の37%が精神科救急ユニットに入院し(1日平均10.8人),その60%が物質依存症と診断されている。米国では精神科入院病床が絶対的に不足しており,EDにおいてもコメディカルによる専門的地域資源の活用などソーシャルワーキングの充実が図られている。物質依存早期介入プロジェクトは医療機関への入院・ 入所を減少させるだけでなく,EDにおける精神科医の診察・治療を待たずに専門地域資源に紹介できるシステムとして有用である。今後,物質依存症ばかりか精神疾患全般において,救急医療施設搬送の機会を捉えて精神科救急と専門的地域資源との連携システムの整備が本邦においても検討される必要がある。

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© 2009 日本臨床救急医学会
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