2009 年 12 巻 3 号 p. 343-347
呼吸困難を主訴に救急搬送され意識障害を呈した閉塞型睡眠時無呼吸症候群と,中枢型睡眠時無呼吸症候群の両者を発現していた1例を経験した。閉塞型睡眠時無呼吸症候群の重症例には,放置することにより上気道閉塞をきたし,CO2ナルコーシスから意識障害へ至る場合もあり,厳重な経過観察と早期の積極的治療が必要である。急変時,高度肥満のため喉頭展開が困難であったが,気管支鏡補助下での経鼻挿管により速やかに気道確保が可能であった。抜管により上気道再閉塞の危険性が高いと判断し,次いで気管切開術を施行した。気管切開下にかかわらず無呼吸発作を認めていた。夜間酸素療法により中枢型睡眠時無呼吸症候群は消失した。食事療法・運動療法による生活習慣の改善により体重減量をはかり,気管切開孔を開鎖することができた。