2009 年 12 巻 3 号 p. 352-355
体外循環下にペースメーカー本体およびリードを摘出した4症例を報告し,ペースメーカー感染に対する本法の適応と手術時の注意点に関して検討した。感染経路は全例ポケット感染で,起因菌はMRSA 2例,表皮ブドウ球菌,CNS各1例であった。手術方針としては,全システムの摘除,心臓内の感染巣切除を行い,新しいペースメーカーリードは心外膜側ヘー期的に装着した。手術では心臓・縦隔と感染巣とを厳密に分離した操作を行った。術後の感染再燃はなく全例生存退院したが,MRSAの2例で自血球数,CRPの低下に2週間を要し,術後6週間の抗生剤投与を行った。体外循環下での全システム摘除術は安全かつ確実であり,敗血症,菌血症合併例やリード抜去困難例では早期の実施が望ましい。