日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
小児重症患者の中核病院への集約化の意義
櫻井 淑男阪井 裕一藤村 正哲
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2010 年 13 巻 1 号 p. 31-34

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抄録

目的:1~4歳児の全国死亡小票調査により,わが国では小児重症患者が中核病院に集約化されていないことが明らかとなった。本稿では,『不慮の事故』患者において,収容先の中核病院と一般病院で死亡までの時間の差から集約化の有効性を検討した。対象と方法:2005年度および2006年度の死亡小票を調査して,このなかで不慮の事故で死亡した患者205名を対象とし,中核病院に搬送された群131名と,それ以外の一般病院に搬送された群74名の死亡までの時間を比較検討した。結果:不慮の事故により中核病院で死亡するまでの時間は,一般病院で死亡するまでの時間に比較して統計学的有意に長かった(196+685時間 vs. 48+160時間,p<0.05)。結語:不慮の事故により死亡するほどの小児重症患者の多くが人的物的資源のそろった中核病院に搬送されず一般病院に搬送され,そこでより短時間に死亡している事実が明らかとなった。

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© 2010 日本臨床救急医学会
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