日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
突然の腰痛で発見された線維筋性異形成の1例
大西 正人宮嶋 美希子前田 清澄森河内 豊
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2010 年 13 巻 1 号 p. 40-45

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抄録

症例は42歳女性。平成20年9月,車の運転後に停車させた際,突然腰痛が出現,過換気になったため救急車で当院に搬送された。病着時,過換気は小康状態,手足のしびれなし。右季肋部に圧痛あり,右背部に叩打痛あり,圧痛は軽度。尿潜血なし,腹部エコーにて腎臓内に血管との交通のある長径約5cmの腫瘤を認めたため,緊急腹部造影CTを施行。右腎下極に20mm×12.5mmの紡錘状の動脈瘤と,この動脈瘤の近位側が破裂して形成されたと考えられる径50mm程度の仮性動脈瘤,腎より尾側の後腹膜に拡がる血腫を認めたため,緊急コイル塞栓術を施行。腎動脈造影にて右腎動脈本幹にビーズ紐様所見string-of-beads appearanceあり,線維筋性異形成と診断した。全身の動脈を検索したが右腎動脈以外に明らかな動脈瘤は認めず,第10病日に後遺症なく退院した。線維筋性異形成は気づかれず無症状で経過し,突然症状が現れ発見される可能性がある。

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© 2010 日本臨床救急医学会
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