目的:救急患者の受け入れ困難は,現場滞在時間(Tl)や搬送所要時間(T2)を延長させると考えられる。本研究の目的は,これらが延長していた患者の特徴を検討することである。方法:平成18年から3年間に,東京23区内から救急搬入された11,155人を対象にT1≧30分,T2≧30分の患者の特徴をロジステイック回帰分析で抽出した。結果:T1≧30分の患者は入院適応,意識障害,および救命対応で多かった。T2≧30分の患者は入院適応,高齢者,および急病で多かった。T2≧30分の患者においてTl≧30分であった患者の割合は,T2<30分の患者と比較して多かった(Odds ratio 2.67,95%信頼区間:1.96-3.65)。結語:T1とT2が延長する患者は入院を要する患者であった。また,T2延長を余儀なくされた患者では,T1が延長していた。救急隊の現場滞在と搬送所要時間の延長は,救急患者の受け入れ困難が一因と考えられた。