日本臨床救急医学会雑誌
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原著
救急隊の現場滞在と病院搬送に長時間を要した患者の特徴
鈴木 昌堀 進悟
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2010 年 13 巻 3 号 p. 303-309

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抄録

目的:救急患者の受け入れ困難は,現場滞在時間(Tl)や搬送所要時間(T2)を延長させると考えられる。本研究の目的は,これらが延長していた患者の特徴を検討することである。方法:平成18年から3年間に,東京23区内から救急搬入された11,155人を対象にT1≧30分,T2≧30分の患者の特徴をロジステイック回帰分析で抽出した。結果:T1≧30分の患者は入院適応,意識障害,および救命対応で多かった。T2≧30分の患者は入院適応,高齢者,および急病で多かった。T2≧30分の患者においてTl≧30分であった患者の割合は,T2<30分の患者と比較して多かった(Odds ratio 2.67,95%信頼区間:1.96-3.65)。結語:T1とT2が延長する患者は入院を要する患者であった。また,T2延長を余儀なくされた患者では,T1が延長していた。救急隊の現場滞在と搬送所要時間の延長は,救急患者の受け入れ困難が一因と考えられた。

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© 2010 日本臨床救急医学会
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