2013 年 16 巻 2 号 p. 117-119
症例は86歳女性。椅子から転落したため当院を受診した。右上腕骨近位端骨折と診断した。骨幹部は上内側に大きく転位していたが,保存的治療を行い転院となった。しかし,受傷後27日目に意識レベルが低下したため当院へ搬送された。CT検査では腋窩動脈の腹側に75×60mmの仮性動脈瘤を認め,血管造影を行うと腋窩動脈本幹からジェット状に噴出する像を認めた。経皮経管血管形成用バルーンを損傷部の中枢側に留置し,出血のコントロールを図り手術を行った。損傷部の直接縫合は困難であったため,自家静脈による置換を行った。上腕骨骨折自体は致死的疾患ではないが,血管合併症は生命を脅かす場合がある。転位が強い場合には,骨折受傷時から血管合併症を念頭におき検索する必要がある。出血性病変を認めた場合には,治療にも直結する血管造影は有用であると考えられる。