日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
出血性消化性潰瘍に対するクリニカルパスの導入前後の変化について
大谷 圭亀岡 佳彦大瀧 佑平行木 太郎奥野 憲司土肥 謙二武田 聡平沼 浩一卯津羅 雅彦小川 武希
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2015 年 18 巻 1 号 p. 49-55

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抄録

われわれは治療の標準化を目的に出血性消化性潰瘍の救急患者用クリニカルパスを作成し2008(平成20)年3月から導入した。クリニカルパス導入前後における変化について,2006(平成18)年から2012(平成24)年までに出血性消化性潰瘍と診断した患者48名(導入前群n=24,導入後群n=24)を後方視的に検討した。導入後群では輸血の施行率(58.3% v.s. 20.8% p>0.05)および輸血量(4.5±4.7IU v.s. 1.7±3.7IU p>0.05)が有意に減少していた。また自己都合で退院した患者8名を除いた40名(導入前群n=20,導入後群n=20)の平均在院日数が導入後群では有意に短縮していた(15.3±3.9日 v.s. 11.9±3.4日 p>0.05)。その一方で,重症例では除外対象あるいはバリアンスとなるケースも多く,今後は重症例などにも対応しうるアルゴリズムパスの作成が必要と考えられた。

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© 2015 日本臨床救急医学会
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