日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
薬物大量服用症例と徐放性カリウム製剤のX線非透過性保持時間に関する検討
種田 靖久篠田 康孝高田 賢松村 知洋竹田 亜子山口 均森 博美吉村 知哲
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2015 年 18 巻 6 号 p. 742-746

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抄録

徐放性カリウム製剤(スローケー®錠,以下Sl-K)の経口投与では重篤な高カリウム血症を起こすことは少ないが,排泄機能の低下や大量服用の場合には起きることがある。服用後は,錠剤がX線画像に陰影として写ることがあるとされているが,臨床におけるX線撮影で確認された報告は少ない。今回,われわれは胸・腹部単純X線に写ったSl-Kが服用錠数の評価に影響を与えた症例を経験した。本症例を踏まえ,日本薬局方溶出試験のフロースルーセル法を参考にSl-KのX線非透過性保持時間に関する検討を行った。その結果,溶出開始より4時間後まではX線陰影が確認できたが,6時間後以降はできなかった。また,人体等価ファントム腹上において撮影したX線画像では,試料単独での陰影に比べ確認しにくかった。以上より,Sl-Kの大量服用において腹部X線画像は服用からの時間の推定に貴重な情報源となることが示唆された。

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© 2015 日本臨床救急医学会
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