1999 年 2 巻 3 号 p. 333-337
急性結石性腎盂腎炎は上部尿路結石に感染を合併した病態である。結石により閉塞の程度が強いと腎盂内で増殖した細菌が腎盂内圧の亢進とともに容易に腎静脈に侵入し,敗血症へと進行する危険が生じうる。過去15年間の沖縄県立中部病院泌尿器科を受診した上部尿路結石患者4,460例のうち230例の急性結石性腎盂腎炎を対象としてretrospectiveに検討を加えた。急性結石性腎盂腎炎は男性44例,女性192例であり,平均年齢49±16歳であった。血液培養施行中の陽性率は58%と高かった。敗血症性ショック,ARDS,DICなど敗血症の合併が96/236件(41%)みられた。急性結石性腎盂腎炎における尿管の通過障害の程度の評価はIVP 15分で腎盂が描出されるかで判断し,IVP 15分で描出不良の場合は抗生剤の投与に加えDouble J stentや腎瘻造設による尿のドレナージを行った。これにより死亡例はなかった。