1999 年 2 巻 4 号 p. 409-412
耳鼻咽喉科領域のなかで高気圧酸素療(HBOT)は突発性難聴によく行われている。HBOTを発症後どの時期に併用するかで,より効果的な治療が行えるか検討する目的で,HBOT(2~2.5絶対気圧60分間,2週間)が施行された突発性難聴75症例(HBOT治療群;男性34名,女性41名)と,HBOTの施行されなかった17症例(対照群;男性6名,女性11名)の聴力検査値をretrospectiveに調査した。治療効果の判定は,オージオグラムによる厚生省の聴力回復判定基準に従って行い,発症からHBOT開始までの日数を7日毎に3群に分けて,著明回復率と治療前後の平均聴力を各群間で各々比較した。突発性難聴の発症からHBOTを開始までの日数とその予後については,発症14日以内にHBOTを開始すると有意な聴力回復が認められ,とくに発症後7日以内の症例の予後改善は著明であり,HBOTは効果的な治療法であると示唆された。