日本臨床救急医学会雑誌
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原著
心肺機能停止事案における現場滞在時間短縮の一方策
―一人法CPRの有効性についての検討―
大和田 均張替 喜世一吉岡 耕一中川 雄公伊藤 裕介大岡 聖門原 貴大匂坂 量田久 浩志田中 秀治
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2020 年 23 巻 4 号 p. 546-550

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抄録

目的:心肺機能停止傷病者に対するアドレナリン投与などの早期医療介入は,心拍再開率を改善させることが期待されるが,現在のプロトコルは救急隊員3名のうち2人にバッグバルブマスクを用いた心肺蘇生法を行うよう規制している(二人法CPR)。これは特定行為遅延の原因になっている可能性がある。今回,われわれはポケットフェイスマスクを使用した1人の隊員によるCPR(一人法CPR)が,この遅延を短縮できると考えた。方法:一人法と二人法について,①CPRの質(胸骨圧迫の回数,深さ,リコイル率,テンポ,人工呼吸の換気回数,換気量,②傷病者接触から静脈穿刺までに要した時間を比較した。結果:①胸骨圧迫の深さを除き,2つの方法でCPRの質に有意差はなかった。②傷病者接触から静脈路確保までの時間は一人法で32秒〜42秒短縮した。結論:一人法CPRはCPRの質を損なうことなく,静脈穿刺までに要する時間を有意に短縮した。

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