2022 年 25 巻 1 号 p. 21-27
目的:聖隷三方原病院における近年のマムシ咬傷症例に関して,症例の背景や抗毒素の使用状況,転帰などを記述しその概要を示した。方法:2006年4月〜2019年3月までに聖隷三方原病院を受診しマムシ咬傷が疑われた症例を対象とし,後ろ向き観察研究を行った。結果:対象症例は108例であった。受傷状況は男性・夏期・上肢の受傷が多かった。78例の抗毒素投与群において,即時型アレルギーと思われる症状を呈した者は7例(9.0%)いたが,補液などの処置で速やかに軽快した。血清病は12例(15.4%)で疑われたが,主症状は蕁麻疹であり,抗ヒスタミン薬の内服や経過観察で軽快した。対照群と比較すると,入院日数は抗毒素投与群で有意に短く,Grade Ⅴに達する症例も抗毒素投与群で少なかった(p<0.05)。患部の腫脹のピークまでの日数,全身症状の有無,creatine kinase値の最大値も抗毒素投与群で有意に改善していた。結論:抗毒素投与による重篤な合併症はみられず,抗毒素投与により,早期退院や重症化予防といった臨床的に望ましい転帰が得られた。