日本臨床救急医学会雑誌
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原著
アンカロン注とアミオダロン塩酸塩注150mg“TE”を注射した患者における静脈炎発症までの時間の違い
齊藤 将之中島 義仁堀 英生鈴木 匡市原 利彦
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2024 年 27 巻 2 号 p. 80-85

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抄録

アミオダロンは成人の生命を脅かす不整脈の治療に広く用いられている。本研究では,2008年1月〜2021年12月までに当院で末梢静脈からアミオダロンを投与された患者314例を対象とした。これらの患者のうち,静脈炎を発症したのは40名(12.7%)であった。われわれは静脈炎発症までの時間を先発品と後発品の投与で比較した。 その結果,アミオダロンの後発品使用患者のほうが先発品使用患者よりも静脈炎発症までの時間が短かった(p<0.001)。さらに,後発品使用群ではアミオダロン投与開始時から静脈炎発症までの白血球の増加比が先発品使用群よりも有意に上昇していた(p=0.04)。これらの結果は,アミオダロンの後発品を患者に使用した場合,患者に不利益が起きている可能性を示唆している。後発点滴医薬品の安全性に関する情報は限られており,本研究で観察された違いの原因を特定するためにはさらなる研究が必要である。

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