2026 年 29 巻 1 号 p. 45-53
背景・目的:人生の最終段階にある傷病者の心停止に対し119番通報で出動した救急隊が,家族や関係者から心肺蘇生等を希望しない旨を伝えられる事例が生じている。本調査は,このような場合の対応方針の策定状況,運用状況および課題を明らかにすることを目的とした。方法:全国720消防本部を対象に,2025年2月からオンラインアンケート調査を実施した。結果:570本部(79%)から回答を得た。「条件が合致すれば現場で心肺蘇生等を中止できる方針」を策定している本部は42%,「対応方針を策定していない」本部は40%であった。心停止事例の4.8%で心肺蘇生等を希望しない旨が提示(伝達)され,そのうち16%で医療機関搬送前に中止された。かかりつけ医によるオンラインでの指示を重視する本部が多く,中止後の搬送方針は多様であった。結論:傷病者の意思に沿った心肺蘇生等の実施に関する取り組みは広がりつつあるが,地域差が存在する。今後は地域医療との連携強化,関係者との情報共有の促進が課題である。