日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
レニン-アンギオテンシン阻害薬・ループ利尿薬・非ステロイド性抗炎症薬の3剤併用による腎機能障害を契機に慢性リチウム中毒を発症した1例
辻村 啓史中野 祐樹安河内 寿成松野 知寛大竹野 久雄石井 英博蓮輪 博嗣
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2026 年 29 巻 2 号 p. 164-168

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抄録

炭酸リチウムは,躁うつ病の治療に広く用いられている。しかし,治療域が狭く腎機能障害や薬物相互作用により血中濃度が上昇し,中毒をきたす可能性がある。本症例は,炭酸リチウム,レニン-アンギオテンシン阻害薬,非ステロイド性抗炎症薬を定期服用していた症例に対し,短期間のループ利尿薬が追加されTriple Whammyが成立した。その結果,急性腎障害(AKI)が生じ慢性リチウム中毒を発症した。炭酸リチウム服用中の患者では,薬剤追加を契機に短期間でもTriple Whammyが成立し,腎機能障害や薬物相互作用を介してリチウム中毒をきたす可能性がある。腎機能障害,低ナトリウム血症や言語緩慢などの症状が出現した場合には,速やかに血中リチウム濃度を測定し,必要に応じて炭酸リチウムの減量や中止,血液透析を検討すべきである。併用薬剤の必要性を再評価し,中止や変更を含めた薬物療法の見直しと,炭酸リチウム投与量の適正な再調整が重要である。

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