2000 年 3 巻 2 号 p. 251-254
比較的まれな鈍的外傷による胆囊破裂を経験したので報告する。症例は60歳,男性。自動車ハンドルにより腹部を強打して受傷し当院に搬入された。搬入時血圧は64/34mmHgでショック状態であった。腹部緊急CTにてⅡb型肝損傷および膵頭部に挫傷を認めたため緊急内視鏡的逆行性胆道膵管造影を行ったところ,主膵管に損傷を認め外傷性膵管損傷の診断のもと,緊急手術を行った。開腹すると胆囊頸部で穿孔しており,その部位より胆汁の漏出が認められた。また胆囊内には結石が数個存在した。胆囊を摘出し,胆囊管切離断端より総胆管内にアトムチューブを挿入して術中造影を行い,ほかに胆汁の漏出がないことを確認した。十二指腸を切開しVater乳頭より膵管チューブを留置した。術後はほぼ良好に経過し術後58日目に軽快退院した。