2001 年 4 巻 5 号 p. 506-509
コンビチューブTM挿入による食道粘膜内血腫の合併を来した症例を経験したので報告する。症例:68歳,男性。餅を詰まらせ心肺機能停止状態に陥った。救急救命士がコンビチューブTMを挿入したが換気ができず,抜去してマスク・バッグ換気を行った。搬送中に心拍・呼吸が再開し,当院ヘ搬入され脳低温療法を開始した。第3病日に胃管から血性排液を認めたため内視鏡検査を施行,食道に血腫を認めた。経過からコンビチューブTMによる合併症と診断された。第79病日に患者は軽快し独歩転院した。考察:本邦では生存例のコンビチューブTMによる合併症は,われわれの調べた限りでは報告されていない。海外では食道穿孔,縦隔気腫などの重大な合併症の報告が散見されるため,本邦でも合併症症例が潜在している可能性が考えられる。コンビチューブTMの取り扱いには繊細な注意が必要であり,消化管出血が疑われる場合は積極的に内視鏡などにより検索すべきである。