日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
急性虫垂炎の術後に確診された進行虫垂癌の1例とその治療方針について
西森 武雄柳川 憲一天野 良亮韓 憲男
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キーワード: 急性虫垂炎, 進行虫垂癌
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2001 年 4 巻 5 号 p. 510-513

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抄録

症例は58歳,男性。右下腹部痛を主訴に当院へ入院した。急性虫垂炎の診断にて虫垂切除術を施行した。切除虫垂の基部がやや硬く触知され,その病理組織学的検査で固有筋層まで浸潤した中分化腺癌と診断された。そのため,リンパ節郭清を伴う回盲部切除を施行したところ,腸管には癌細胞の残存はみられなかったが,リンパ節転移が認められた。患者は術後,著変なく経過し虫垂切除後29か月現在,再発の徴候はみられていない。虫垂炎の診断下に手術を施行し,術後に結腸型の虫垂癌と診断した場合,固有筋層より深く浸潤している症例はリンパ節転移を伴っていることが多いため,リンパ節郭清を含む腸管切除術が必要であると思われた。

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© 2001 日本臨床救急医学会
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