日本臨床救急医学会雑誌
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臨床経験
長野県飯田下伊那二次医療圏内の長距離救急搬送における県消防・防災ヘリコプターと救急車の比較検討
神頭 定彦代田 とみ子林田 弘木下 文良
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2002 年 5 巻 1 号 p. 48-56

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抄録

長野県消防,防災ヘリコプター(以下ヘリ)搬送対象地域(8村)から,半年間の救急車搬入41例(A群)とヘリ搬入7例(H群)の搬送実態を比較検討した。A群中19例が搬送手段としてヘリが望ましいと判定し,当医療圏の年間ヘリ搬送対象者は100人前後と推定した。ヘリ搬送の利点は,患者搬送時間の47分(A群)から9分(H群)への短縮と,傷病者安静度の向上であった。診療所からの転院例では,収容所要時間が61分とA群の71分に比し有意(p=0.003)に短縮され,ヘリ待機中も医師の監視・治療下にあり有用であった。ヘリ搬送の課題は,ヘリ離陸時間とA群14分のほぼ2倍の29分かかっている現場到着時間の短縮,24~42%に及ぶ整備運体の解消などで,ヘリの増機と県南部への配備が強く望まれる。当医療圏の現状では,ヘリ・救急車併用システムの構築が重要で,対象地域のヘリポートをさらに整備し,診療所医師,住民,行政への啓蒙も不可欠である。

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© 2002 日本臨床救急医学会
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