2002 年 5 巻 3 号 p. 324-328
自宅でペットとして飼育されていたハムスターに咬傷を受け,数分後にanaphylaxyを発症し,当院へ搬送中に心肺停止を来した症例を経験した。患者は45歳,女性で以前からハムスターによると思われる喘息症状があった。咬傷の既往は何回かあった。心肺蘇生により心拍は再開したが,重篤な蘇生後脳症を残した。Radioallergosorbent technique(RAST)ではハムスター上皮に対し12.3UA/mlと高値を示した。このことより咬傷という受傷機転はanaphylaxyを発症する原因となると考えた。このような哺乳動物咬傷によるanaphylaxyの発症は報告例が少ないが,ペットの飼育機会が増加し,喘息などのアレルギー源として注目されている現在,貴重な症例と考えられた。