救急隊員のバッグ・マスク手技の向上を目的として,その評価表を考案した。評価表はバッグ・マスク手技を行ううえで重要と思われる注意点を11項目に分け,なかでもとくに重要と考えられる項目の配点を大きくした。またAHAのガイドライン2000に基づくバッグ・マスク手技に関しての5項目の質問を加え,全体で100点満点とし,合格基準は80点以上と定めた。この評価表を用いて北総救命会が毎週1回行っている定期講習会の受講者を対象に,計6回の訓練を行った。はじめに受講者の手技を評価し(指導前評価),講義と個別練習を経て再評価する(指導後評価)形式で訓練を行ったところ,指導前評価の平均点は53±23点であったのに対し,指導後評価では86±13点と有意に上昇していた(p<0.001)。評価表を用いることで個々の手技の問題点が明確になり,短時間ながら有効なバッグ・マスク手技の習得が可能になると考えられた。