2003 年 6 巻 4 号 p. 421-426
湘南救急活動研究協議会加盟18消防本部,および所属救急隊員569名を対象として,平成13年度に感染防止に関するアンケート調査を実施し,感染防止に関する認識や標準予防策の実施状況を検討した。当初,標準予防策に基づいた現場活動は十分ではなかったが,生涯教育講座救急セミナーなどの教育活動の結果,その認識は高まってきた。しかし,その取り組みには組織的な対策が伴っていないところがあった。針刺し事故など,感染事故対策は消防本部として不十分であり,感染対策マニュアルは一部の消防本部で運用されているにすぎなかった。また,感染情報提供に関する消防機関と医療機関との連携も整備されていなかった。救急隊員はプレホスピタルの医療従事者であり,感染予防・対策に十分な認識をもち,積極的に現場活動を遂行していかなければならない。効率的で科学的な予防法を消防機関として取り入れ,感染教育を推進する必要がある。現在,協議会においては感染予防マニュアルを作成し,統一的な指針を示しており,消防機関として感染予防のシステムと環境の整備を進める必要がある。