2003 年 6 巻 5 号 p. 494-498
盲腸軸捻転症は比較的まれな疾患である。今回筆者らは,精神発達遅滞患者に発症した盲腸軸捻転症の1例を経験したので報告する。患者は30歳,男性。過去に下痢と嘔吐のため入退院を繰り返していたが,食事摂取不良と嘔吐のため当科を受診した。顔面は蒼白・苦悶状を呈し,腹部膨隆と筋性防御を認めた。腹部単純X線検査で腹部中央に巨大ガス像を認め,大腸内視鏡検査では上行結腸から口側への挿入は困難であり,内視鏡下の造影検査で口側大腸の狭窄像が描出された。CT検査で上行結腸から拡張腸管へ連続する狭窄腸管と,その周囲の線維性組織の存在を認め,盲腸軸捻転症を強く疑い緊急手術を施行した。回盲部腸管は約360度反時計回転し,著明に拡張して虚血性壊死に陥っていたため回盲部切除術を施行した。精神神経疾患合併例では術前診断は困難であるが,本症も鑑別診断のなかに合めて精査し手術時期を逸さぬことが重要である。