2004 年 7 巻 3 号 p. 285-287
ショックパンツは1970年代外傷出血患者に多く使用され,日本においても平成3年救急隊員の行う応急処置等の基準の改正に伴い救急資器材の拡大9項目に取り入れられた。今回アナフィラキシーショック患者への使用例について後ろ向きに検討した結果,ショックパンツ装着前収縮期平均血圧は64mmHgで装着後収縮期平均血圧は102mmHgであり,またショックパンツ未装着症例との比較においてもショックパンツ装着によって血圧は有意に上昇していた(p<0.05)。欧米のようにアナフィラキシーショックに対してプレホスピタルから輸液や投薬が行えない日本の救急現場においては,ショックパンツの装着は血圧上昇目的に有効であることが示唆された。