抄録
大学入学学生の修学を継続させることは,教育上,あるいは大学経営上の観点から,学生と大学双方にとって非常に重大な課題である.本研究では,福祉系私立大学の新入生に対するアンケートと,その後の学生の退学状況に対して,統計モデリングを適用し,修学が中断されるメカニズムの考察を試みた.適用したモデルは,修学の中断における,全学部共通の傾向と,学部特有のメカニズムを同時に表現し,アンケート回答から修学が中断される確率を予測するものである.その結果,福祉に関係した学部かどうか,あるいは,卒業時の国家資格受験の有無によって,修学中断につながる要因が大きく異なることが示唆された.