2023 年 2023 巻 3 号 p. 92-98
昨今の社会科教師教育では,教師が自己の社会科授業観を自覚し,相対化させるような省察が求められている.特に中堅教師にとってその意義は大きい.本研究では,中学校の中堅社会科教師2名を対象に,社会科授業観の省察を促す授業研究を先行研究に修正を加えた方法で実施した.分析の結果,生徒が自由に資料を収集して読み取ったり,議論を通してお互いの主張を吟味したりする授業の必要性を認めながらも,実現の難しさに葛藤し,やがて自分の社会科授業観の偏りに気づくことが明らかになった.