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―教科書の活用に関する授業の実施前後の比較―
八木澤 史子, 中尾 教子
2023 年 2023 巻 3 号 p.
1-6
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,美術系教員養成課程に所属する学生を対象に,教科書の効果的な使い方を解説した手引書を用いた授業を実施し,授業実施前後で学生の教科書の活用に関する意識がどのように変容するかを調査した.結果,「学び方を学ぶテキスト」「自ら学ぶためのテキスト」の2項目は有意に回答の割合が増えていることから,授業を通して学生は,「学び方に関するツール」という教科書の役割を新たに認識した可能性が示唆された.
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下司 裕樹
2023 年 2023 巻 3 号 p.
7-14
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
これまで中学生や大学生を対象として行なってきた,日本史分野において学習者に知識操作を促す授業実践とその結果を踏まえ,学習者が知識操作を用いるようになるためにはどのような要素が必要であるのかを検討した.知識操作の方法を教授することはもちろん,その基礎となる段階の学習をいかに取り入れることができるかが,大きな要因となっている可能性に言及する.
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―心理学的視点を中心に―
栗山 直子
2023 年 2023 巻 3 号 p.
15-18
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
東京工業大学で教職科目として開講している「学習者特性に基づく指導方法の設計」において,教職を目指す学生に発達過程や学習者特性など心理学の視点に即した指導案改善を反転授業とアクティブラーニングを用いて行っている.本稿では授業方法の狙いと指導案改善の視点について履修学生(13名)の指導案の事例分析の結果を示す.
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曾渡部 春香, 池田 満
2023 年 2023 巻 3 号 p.
19-26
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
教育現場に求められる,対話を通じた学びや外部との協働の実践について,課外活動での外部人材の実践に着目し,活動に参加した生徒の態度変容やその要因を検討した.分析には質的分析の手法であるSCAT分析を用いて,同じ教育プログラムに参加する異なる学校の生徒6名をインタビュー対象とし,学校の状況・特性による変化と,活動に参加した生徒に共通する変化とその要因を分析した.分析の結果,生徒が他者との対話を通じ,他者・多角的視点と共感を獲得し,さらに,生徒自身の自己肯定感,自己効力感,モチベーションが,他者との関係性や個人の成長実感の中で育まれていることが示された.
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―中学校第2学年技術家庭でのものづくり科において―
上野 陽平, 広瀬 弘雄, 尾崎 剛
2023 年 2023 巻 3 号 p.
27-31
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
プログラミング的思考を測る際,アンケートのような主観的な評価方法を用いることがあるが,客観的な評価方法は確立されていない.本研究では中学校第2学年の生徒81名を対象にロボットカーを用いたプログラミング授業を全12回実施し,それによる学習効果の測定を主観的な評価方法と客観的な評価方法の2つの方法で行い,それぞれの評価方法の有効性を検証する.結果として,客観的な評価方法では有効性を確認できたが,主観的な評価方法では有効性を確認できなかった.
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川田 拓, 浅沼 勉, 佐藤 靖泰, 堀田 龍也
2023 年 2023 巻 3 号 p.
32-35
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
3Dプリンターで作成した立体物を用いた新たな表現手法学習の実践を報告する.小学校4年生の児童が,タブレット端末に描いた絵を3Dプリンターで立体物として作成した.児童は実際に3Dプリンターで印刷されたものを見て,二次元と三次元の違いを考え,絵を修正した.自分自身が創作した絵が立体物として現れることで,二次元の表現と比べて,どのような違いがあったのか,どのような工夫が必要なのか,など児童の気づきを観察した.
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中里 浩之, 中村 浩章, 飛田 博章
2023 年 2023 巻 3 号 p.
36-40
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
日本語話者にとって英語などの外国語のスピーキング機会不足は大きな課題である.これに対応するため,生成AI技術のChatGPTとVR向け3DキャラクターファイルフォーマットのVRMを活用し,3Dキャラクターとの英語・ロシア語・日本語での自由な音声対話を実現するWebアプリケーション「LingoAI」のプロトタイプシステムを実装した.本研究ではシステムの概要や特長,現状の実装と課題について考察の結果を示す.
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―心拍変動周波数解析を用いた実験的研究―
川畑 駿太郎, 平手 裕市, 中井 浩司, 松井 藤五郎, 山本 諄
2023 年 2023 巻 3 号 p.
41-46
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
教育分野においてもVRの導入が注目されている.本研究では,リラックスVR画像の視聴下および非視聴下における自律神経活動を,心拍変動周波数解析を用いて比較検討した.その結果,視聴下で交感神経活動の指標とされる低周波数領域と高周波数領域のパワー比が抑制され,VR画像は自律神経系へ影響を及ぼす可能性が示唆された.従って,教育・学習ツールの開発において,ストレスに配慮したVR環境の構築が重要であると思われる.
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石黒 千晶, 東南 裕美, 安斎 勇樹
2023 年 2023 巻 3 号 p.
47-52
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
創造性の発揮は企業組織にとって喫緊の課題である.近年,海外では創造性に関する自信を示す創造的自己効力感が実際の仕事の場での創造的パフォーマンスに影響することが示されている.本研究では企業の従業員と上司を対象にして質問紙調査を行い,従業員個人の創造的自己効力感とチームレベルの創造的自己効力感が上司による創造性評価に与える影響の違いを検討した.
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鈴木 賢司, 加藤 奈穂子, 尾澤 重知
2023 年 2023 巻 3 号 p.
53-60
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,企業トップのミドルマネジメント時代の経験談に関する記事から主要なトピックを抽出し,経験,資質能力,リーダーシップ持論の形成の関係性を明らかにすることである.日本経済新聞社の連載記事「私の課長時代」を対象として,テキストマイニングと質的分析を併用して分析を行った.その結果,主要なトピックとして「課題仕事」「人とのやりとり」「経営環境」が抽出され,経験と資質能力として,「ふり返り」「人を活かす」「創造変革」が見出された.これら相互の関係性を考察するとともに,リーダーシップ持論の形成されやすい経験を明らかにした.
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加納 寛子
2023 年 2023 巻 3 号 p.
61-65
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
テレワークに対する意識と年収および幸福感の関連について分析した結果,年収が高い人ほどテレワークを希望する傾向が見られた.
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―小学校理科を事例として―
山野井 貴浩, 望月 信吾
2023 年 2023 巻 3 号 p.
66-69
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
小学校教員を対象に質問紙調査を行い,現在のICT活用の状況をSAMRモデルの観点から調査した.質問紙は理科を事例として作成し,20代~50代以上の計100名から回答を得た.その結果,現在のICT活用の実施頻度はS,A,M,Rの順で低くなる傾向が見られ,MやRの実践や授業の立案が出来ない理由としては「時間が足りない」の回答が最も多かった.一方で,MやRの活用についても現状の頻度より行っていくべきであると回答した.また,7割以上の教員がSAMRモデルは学校教育におけるICT活用を推進していく上で有用であると回答とした.
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―メリルのID第一原理を活用して―
江﨑 由利子, 保坂 敏子
2023 年 2023 巻 3 号 p.
70-77
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
小学校教員は英語発音に不安があるが,多忙化により英語力向上のための研修時間の確保が難しい.本研究は,教員の英語発音に対する不安軽減のために,メリルのID第一原理に従い,ICTを活用した発音学習教材の開発を目的とした.教員への試行で得たデータから形成的評価を行い,教材の有効性を検討した結果,学習成果について,事前・事後テストの得点に有意差が見られた.また,隙間時間を利用した学習が可能であることが示された.
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神野藤 均, 山口 好和
2023 年 2023 巻 3 号 p.
78-83
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
学習の基盤となる資質・能力として,子供生徒の情報活用能力の育成の必要性が訴えられているが,情報活用能力に対する意識は,教師と子供で乖離が見られる.本研究は,地方の小学校の子供と教員の情報活用能力に対する認識の違いについてアンケートを基に考察することを目的としている.
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―対面授業との格差解消に向けて―
棈松 祐介
2023 年 2023 巻 3 号 p.
84-91
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
これまで対面授業が当たり前であったが,コロナ蔓延を境に感染に注意を払いながらの新たな授業方法の確立を模索しなければならなくなった.高専には寮があり,寮内での爆発的感染によって休校を余儀なくされ,そのような中でも授業時数の厳正な確保が求められる中,遠隔授業のシステム導入は急務で,現在,遠隔授業に移行できるシステムが構築されている.それに合わせて個々の教員独自の手法も求められ,いろいろ試行錯誤しながら対面授業との格差解消を目標に取り組んできた.対面授業ではICT機器の使用をしているが,それを遠隔授業に応用する教授法を紹介し,定期考査の度数分布状況や授業評価アンケート結果も併せて報告したい.
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宇佐美 健, 今野 貴之
2023 年 2023 巻 3 号 p.
92-98
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
昨今の社会科教師教育では,教師が自己の社会科授業観を自覚し,相対化させるような省察が求められている.特に中堅教師にとってその意義は大きい.本研究では,中学校の中堅社会科教師2名を対象に,社会科授業観の省察を促す授業研究を先行研究に修正を加えた方法で実施した.分析の結果,生徒が自由に資料を収集して読み取ったり,議論を通してお互いの主張を吟味したりする授業の必要性を認めながらも,実現の難しさに葛藤し,やがて自分の社会科授業観の偏りに気づくことが明らかになった.
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平山 靖, 今野 貴之
2023 年 2023 巻 3 号 p.
99-106
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,ルーブリック作成初心者教師が,児童が自身の学びを振り返るルーブリックをどのように作成するのかを明らかにすることである.筆者が開発したルーブリック作成資料を6名のスクールミドルに使用してもらい,作成されたルーブリック,ルーブリックの作成時間,6名の教師へのインタビューデータの3つをもとに分析を行った.結果,ルーブリック作成初心者教師が,ルーブリックを作成していた際の特徴として3つのことが明らかになった.
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中澤 謙, 久田 泰広, 渡部 琢也, 西原 康行
2023 年 2023 巻 3 号 p.
107-112
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
Eye Tracker搭載したVirtual Reality装置を用いて保育場面を観察中の教師と学生の視線の特徴を捉えた.子どもの遊ぶ場所や相手が同時多発的に入れ替わる状況下において,教師及び2年生が注意を向ける対象が絞られているのに対して1年生は絞れていないことが示された.さらに,保育実施者である教師は動きの無い子どもへ注意を向けず,限られた認知機能のリソースを効果的に用いていることが示唆された.
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眞鍋 俊樹, 大澤 文人
2023 年 2023 巻 3 号 p.
113-117
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
日本における心理テストの変遷と現況を概説し,それらの抱える課題と問題点及びそれらに対する技術的な発展可能性について論ずる.
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―学校規模と職場環境に着目して―
伊藤 翔平, 姫野 完治
2023 年 2023 巻 3 号 p.
118-125
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
「教員は学校で育つ」としばしば言われる.初任者層は先輩教師や学校全体の風土に支えられ成長する.教職員への質問紙調査の結果,学校規模によって職場環境が異なることがわかった.特に,大規模校においては,初任者層支援に対する理解が進みにくいことや,教職員同士の連携・協力面で困難さが存在することが明らかとなった.また,教育行政が想定する「大規模校のメリット」と,現場の教職員の意識が異なっていることも見出された.これらを踏まえた結果,大規模校における初任者層支援について望ましいあり方が示唆された.
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鈴木 綾, 姫野 完治
2023 年 2023 巻 3 号 p.
126-133
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
国際バカロレア校の中等教育学校でサーベイフィードバックの手法を用いた校内研修を試行した.教科の枠を越えた学びに対する意識を調査した結果,生徒は学際的単元の授業において創造的アプローチと知的やりがいを求めていることが分かった.また,勤務年数の短い教員は,探究テーマと総括的評価の項目を作成しにくいと感じていることが示唆された.校内研修において単元計画を協働設計し,今までにない組合せで教科・科目を統合することが発案された.
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石原 浩一, 泰山 裕
2023 年 2023 巻 3 号 p.
134-138
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,養護教諭を対象とした効果的なクラウド活用研修を実施するための留意点を明らかにすることである.養護教諭を対象とした研修を実施し,半年後に事後アンケートを行った.研修転移群と非転移群の「研修内容の有効性」「研修後の行動」を比較し促進要因を検討した結果,転移群は研修後に同僚や他校の養護教諭と積極的に質問や情報共有をしていたこと,研修時の資料を見て学び直しをしていたことが分かった.また,非転移群の阻害要因及び求める支援を検討した結果,「活用場面理解の不十分さ」等の阻害要因があり,「情報共有・相談先」等の支援を求めていたことが分かった.
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宮本 淳, 仙石 昌也, 橋本 貴宏, 久留 友紀子, 山森 孝彦, 山下 敏史
2023 年 2023 巻 3 号 p.
139-145
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
筆者らは,大学初年次学生の協働学習に対する態度について,態度の3側面(認知・感情・行動)に着目した尺度,及び態度の両価性尺度を用いて調査を行ってきた.また,協働作業の指標の一つとして,編集履歴から作成プロセスを可視化するリビジョンマップを用いて協働ライティングにおける学生の貢献度や積極性を定量化する試みを続けている.本研究では,(1)態度の両価性と協働作業の指標との関連,(2)協働学習の前後での協働学習に対する態度変容と両価性との関連,(3)態度変容と協働作業の指標との関連について検討を行った.
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陳 心怡, 岩間 徳兼, 石川 奈保子, 池田 文人
2023 年 2023 巻 3 号 p.
146-151
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,授業の形式(講義,演習など)と学生の授業に対する興味(日常関連型,知識獲得型,思考活性型の三つの型の興味)の関係を検討するものである.その結果を通じて,修学意欲の視点から授業の改善につながる事柄を探る.検討のため,大学院のある授業科目の受講生14名を対象として,授業回ごとに,興味尺度の三つの型の項目と授業の形式に関連する質問で構成したアンケートへの回答を求めた.本発表では,調査を通じて得られた評定や自由記述を分析・整理し,授業の形式と授業に対する興味の関係について得られた結果を報告する.
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瀬崎 颯斗, 渡邊 智也, 小野塚 若菜
2023 年 2023 巻 3 号 p.
152-159
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,海外の高等教育分野を中心に,学習者中心の考えに基づくフィードバック研究が進んでおり,フィードバック・リテラシーの概念が注目されている.本稿では,本概念の研究動向に関するレビューを通じて,学習者のフィードバック・リテラシーの定義と構成概念,それを高める介入方法としての学習活動に関する検討を行った.これまでの動向としては,理論研究による概念枠組み提案,学生調査によるカテゴリー生成,尺度開発研究への発展,という流れで研究が進展しており,介入方法としては学習者による評価活動やフィードバックに関するワークショップ等が存在することが示された.
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石川 奈保子, 阿部 真由美, 杉浦 真由美
2023 年 2023 巻 3 号 p.
160-167
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
アカデミックライティングの授業において,ピアレスポンス後にピアからもらった評価とコメントを参考にレポートを修正するとともに,もらったコメントに対して回答する活動を行った.本稿では,ピアレスポンスの問題点について論じ,本実践での授業デザインについて報告した.また,ピアレスポンスおよび回答活動前後でのピア指向性の変化について分析した結果,以下の2点が明らかになった.(1)全体的にピア親和性は高まったものの,意見開示抵抗感は緩和されなかった.(2)学習に対する積極的関与が低い受講生のほうがピア親和性の上昇幅が大きかった.
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小林 敬, 藤貫 裕, 田口 真奈
2023 年 2023 巻 3 号 p.
168-173
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
2009年度より開始された「京都大学文学研究科プレFDプロジェクト」は,京都大学高等教育研究開発推進センター(以下センター)の支援に支えられてきた.「授業実践」と「相互研修」―OD(オーバードクター)を中心とする若手研究者を非常勤講師として任用して実際に学部生向けのリレー講義を担当させた上で,参加者同士でお互いの授業を参観・検討させる―を中心に据えたプログラムの活動を成立させるため,センターが提供してきた支援は多岐にわたる.しかし2022年9月末をもってセンターが廃止された結果,文学研究科は過去のセンターとの共同実績を踏まえながらも,自主運営可能なプレFD実施の方策を模索するよう迫られた.本発表では,これまでのセンターとの「プレFDプロジェクト」の活動を参加者からのアンケート結果をもとに振り返った上で,現在新たに行われている研究科独自の「プレFDプログラム」の構想・現状・課題を紹介することで,センターのような専門的組織の支援なしで運営可能なプレFD活動の在り方を検討する.
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井田 志乃, 西田 若葉, 内田 保雄
2023 年 2023 巻 3 号 p.
174-179
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
2020年度より初等教育段階からのプログラミング教育が必修化されてきたが,到達目標に対応した学習成果を確認するための指標はほとんど明示されていない.本研究では,文系学部の大学生を対象にプログラミング的思考を包含している思考プロセスだと考えられるコンピュテーショナル・シンキングについての調査を実施し,属性や学修傾向等の違いによる特徴を確認するとともに,主観的評価としてのコンピュテーショナル・シンキング尺度によって測定可能な項目について検討する.
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酒井 浩二, 吉川 秀樹, 徳田 仁子, 松本 しのぶ, 千葉 晃央, 西川 潤, 中木 直子, 高見 茂
2023 年 2023 巻 3 号 p.
180-187
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
大学設置基準改正で,2019年度から大学は学部等が連携して編成する教育課程「学部等連係課程」を置くことができるよう制度化された.本稿では,学部等連係課程の特色を概観し,本学で設置された学部等連係課程「人間健康学群」を事例として,設置の背景,連係学部,教育プログラムの特徴を概説する.社会課題の発見・解決力を修得して社会で活躍するための教育課程として,学部等連係課程の効率性と有効性を考察する.
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野間川内 一樹
2023 年 2023 巻 3 号 p.
188-195
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
A大学の授業科目「リーダーシップ論」では,既修得者の「学生スタッフ」と教員の協働による授業を行っている.「学生スタッフ」は教員のサポートと受講学生の学びのサポートが主な役割であるが,学生の立場でありながら教員と協働することから,受講学生に与える影響は大きい.そこで,本研究では授業改善のために「学生スタッフ」が,受講学生の模範となる言動が取れるよう指導し,アクション・リサーチにより成長の過程を調査した.
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黒田 千晴, 大山 牧子, 近田 政博, 永井 敦, 朴 秀娟, 村山 かなえ
2023 年 2023 巻 3 号 p.
196-203
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究プロジェクトでは,大学等において,国内学生と留学生を対象とした多文化間共修授業等において利活用できる教育コンテンツの開発に着手している.第一段階として,社会に実在する様々な多様性に関して学習者の当事者意識を喚起することを目的としたケース教材を試作した.本報告では,ケース教材作成の趣旨,教材の構成を紹介したうえで,ケース教材試作版の内容について,学習到達目標に照らし合わせて教材の教育効果を検証し,今後の教育コンテンツ開発に向けた課題を示す.
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―聾学校に勤務している聴覚障害教員の視点に焦点を当てて―
石川 美希
2023 年 2023 巻 3 号 p.
204-211
発行日: 2023/10/16
公開日: 2023/10/16
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,聴覚障害教員から見た聴教員との同僚的相互作用における促進および阻害要因を探るため,聾学校にて勤務している聴覚障害教員を対象にインタビュー調査を行った.KJ法の結果,促進および阻害要因として,【同僚の人的要素】【職場の雰囲気】【両者の対等性】【同僚間の会話・雑談】の4大カテゴリが生成された.同僚的相互作用を促進するためには,両者の対等性に価値を置いた職場の雰囲気と,普段の雑談が重要な鍵になると考えられた.
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