2024 年 2024 巻 4 号 p. 274-281
従来型統計を用いた計量テキスト分析は,プロセスの明瞭性と検証可能性を備えた信頼できる内容分析の方法である.一方で,その結果解釈には分析者に一定の統計リテラシーと想像力が求められるため,解釈の質が分析者の力量に大きく左右されるという課題がある.そこで本研究では,KH Coderを用いた計量テキスト分析に対し,生成AIを補完的に活用することで,この課題に対応できるかどうかを検証した.その結果,KH Coderの再現可能な分析結果を研究者が確認しつつ,生成AIの出力を一つのヒントとして活用すれば,結果解釈の信頼性と質の底上げに寄与できることが確認された.