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―A4用紙1枚で自分のテーマを語る実践を取り入れて―
島 智彦
2024 年 2024 巻 4 号 p.
1-8
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,生徒の興味・関心に基づくテーマを扱う探究学習の初期5回の授業に着目した事例研究である.授業では,生徒が探究の意義や価値を理解し,テーマ決めに肯定的に取り組みながら適切なテーマを選べるようになることを意図する.授業の前半(1,2回目)は,探究学習の意義や価値について説明し,昨年度の上級生による取り組みを紹介する.後半(3,4,5回目)は,生徒一人ひとりがテーマを決め,その魅力をA4用紙1枚にまとめ,各自が3分間で発表を行う.授業中の生徒の様相および5回目の授業後に行ったアンケート結果からは,授業やテーマ決めに対して概ね肯定的な反応が得られた.一方,生徒が作成したテーマには,今後修正が必要と思われるものも多く見られた.
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松野 智哉, 安本 太一
2024 年 2024 巻 4 号 p.
9-16
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
現行の学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」について言及され,授業における対話が非常に重視されている.一方で学校には,対話を積極的に行うことができない児童がいることも事実である.本実践では,プログラミングにおける試行錯誤に着目し,対話的な授業の構築を目指した.プログラミングは,何度も繰り返し挑戦することができ,結果が合っているかをすぐに確認できるという特徴がある.これを踏まえて,ペアで正多角形を描くプログラムの作成や円周率の算定に時間をかけた.試行錯誤により自分自身の意見を持つことで,対話が活性化し,円周率への理解が深まることが明らかとなった.
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成宮 涼太, 伊藤 俊一
2024 年 2024 巻 4 号 p.
17-23
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,中学校社会科教育において,ICTを活用して生徒が社会科における事象の因果関係を可視化し,他者に論理的に説明する活動を通じて,より深い理解を得られる授業を目指すものである.授業では,生徒が資料を収集・分析し,ICTツールを使用して事象の原因や結果を図で整理する.実践授業の結果,単元の学習前後で生徒の因果関係の理解に有意な向上が見られ,因果関係可視化マップが社会科における事象を因果的に捉えるのに有効である可能性が示唆された.
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山川 修
2024 年 2024 巻 4 号 p.
24-28
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
探究学習の中では,学生自らが問いを立て,その問いに対して仮説を創ることが重要である.しかし,仮説生成は直感に頼ることが多く,明確な方法論は少ない.今回科学論という講義の中で科学的思考力の育成を目指し,学生が自ら仮説生成を行う取り組みを実施した.本発表では,科学論全体の構成の中で仮説生成がどういう位置づけであったかを示し,コトのデザインの方法論を使った仮説生成の手法を説明する.そして,この手法が学生にとってどうだったかという評価を,学生の振返りから推定する.
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三輪 泰大, 林 兵馬, 樋口 真之輔
2024 年 2024 巻 4 号 p.
29-34
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,「総合的な学習(探究)の時間」の課題設定において,生徒自らが立てた問いに対する自己認識や問いのきっかけを年度開始から3ヶ月経過した段階で調査したものである.多くの生徒にとって,テーマ選択のきっかけは身近・日常生活での気づきであり,書籍や論文・発表,授業などもアイディアをひらめく機会になっていることが分かった.また,テーマに対する意義・価値への意識は,高次の学年ほど高まる傾向にあった.
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棚町 太陽, 梶原 拓人, 浅利 みなと, 河西 奈保子
2024 年 2024 巻 4 号 p.
35-42
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,探究学習を終えた高校3年生を対象に,探究学習の自己評価ならびに大学院生TAの指導・支援に関わる評価アンケートを実施し,探究学習の満足度や自己評価に影響を及ぼす要因や,中長期にわたる大学院生TAの継続的な支援が探究学習にもたらす効果を考察した.対象としたのは,新課程から探究学習を開始し,かつ大学院生TAが2年間支援を行った都立高校1校である.大学院生TAによる継続的な探究学習の支援は,高校生のモチベーションと限られた時間での目標到達に正の効果があることが示唆された.
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正司 豪, 瀬野 亜希, 尾澤 重知
2024 年 2024 巻 4 号 p.
43-50
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,STEM系学部を対象にして,高校での探究学習が大学での研究活動にどのように影響を与えるかを明らかにすることを目的とする.7名に対する半構造化インタビューにより質的分析を行なった結果,大人からの研究に関する「ゆさぶり」と自分ごと化していない研究活動の影響を受けながら,複数の探究学習の経験を通して,大学進学後の研究活動において挑戦的なアプローチを行なっていた.これにより,中高での探究学習は,研究スキルの習得だけでなく,研究者キャリア形成にも重要であることが示唆された.
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林 兵馬
2024 年 2024 巻 4 号 p.
51-55
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,生成AIを用いた探究学習の教育的応用について検証した.生成AIが問いの創出や研究計画立案において,生徒の探究活動を支援し,教員の負担軽減に寄与することを示した.一方で,生徒の自律的な思考の育成を重視する指導が必要であり,生成AIの導入には適切なファシリテーションが求められる.本研究の結果は,生成AIを活用した探究学習の質的向上に貢献する可能性を示唆している.
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遠藤 みなみ, 大久保 紀一朗, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
2024 年 2024 巻 4 号 p.
56-62
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,中学校2年生の国語科を対象に,個別学習,グループ学習で生徒が動画を視聴する授業実践を行い,個別学習とグループ学習という学習形態の違いが生 徒の動画コンテンツを使用する際の学習方略に与える影響を把握することを目的とした.その結果,(1)動画コンテンツを使用する際の学習方略は9種類であったこと,(2)個別学習群では,グループ学習群よりも多様な学習方略が用いられたこと,(3)個別学習群では,グループ学習群とは異なり,調べ学習を行う学習方略や,再生速度を変更する学習方略などが用いられたことが示唆された.
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壹岐 宥哉
2024 年 2024 巻 4 号 p.
63-70
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,日本語学習者の増加に伴った学習目的の多様化と,ICT技術の発達で可能となった無料オンライン学習教材の急増により日本語学習の方法が多様化してきている.こうした背景から,散在している教材の情報を分類また整理した形で学習者に提供するプラットフォームを構築することで学習者の自律的な学習を支える必要性が増してきている.そこで本研究では既存のプラットフォームの課題及び日本語学習者の学習ツールの使用実態をアンケート調査により明らかにした.またアンケート結果を分析し,3つの改善点を提案することで新たな自律学習支援プラットフォームの在り方を検討した.
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久川 慶貴, 草本 明子, 高橋 純
2024 年 2024 巻 4 号 p.
71-76
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
学習者が自己決定をしながら学ぶ授業では,教師は学習者の学習状況をリアルタイムで把握し,助言等を行うことが重要となる.そこで,クラウド技術を使った「学びの調整シート」について調査を行った.結果,15のカテゴリ,5つの大カテゴリが得られ,1)学習者にとっての機能に加えて,教師による学習者1人1人の学習目標や自己評価等の学習状況の把握が可能であること,2)教師は項目を柔軟に組み合わせられるため,教師の必要に応じた1人1人の学習状況の把握を支援する可能性があること,が示唆された.
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後藤 康志, 小柳 和喜雄, 寺嶋 浩介
2024 年 2024 巻 4 号 p.
77-84
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,メディア認知(信頼性,簡便性,嗜好性等)とメディア接触度を参加者が内省した事例を報告する.活用するメディアをWeb,図書,テレビ,新聞,SNSとし,「仕事や学習に役立つ最新の情報を得る」という目的において,検索性,速報性,簡便性,信頼性,嗜好性をどれほど重視するかを階層分析法(AHP: Analytic Hierarchy Process)を利用して調べプライオリティ,計算結果を受講者に提供した.結果として,メディア接触度と関係なく信頼性を重視している傾向がみられた.
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鈴木 晴, 鬼藤 明仁
2024 年 2024 巻 4 号 p.
85-91
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,小学校の図画工作科においてICTを活用したeポートフォリオの導入と動画共有が,児童の学習方略に与える影響を考察したものである.動画共有により,児童は他の作品を深く理解し,自己の作品制作に反映させることができた.またeポートフォリオの活用と,児童の学習方略の変容や使用傾向を見取ることができた.これらの結果,図画工作科の授業におけるeポートフォリオを活用した動画共有が児童の協働的な学びに有用であると示唆された.
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仲西 佑香, 藤村 裕一
2024 年 2024 巻 4 号 p.
92-99
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
音楽は音を扱う科目であるため,1人1台端末の活用で授業スタイルが転換し得るにも関わらず,GIGAスクール3年目となっても従来通りの授業が見られる.独自の調査より,音楽を指導する教員の過半数が端末を十分活用できていない実態と,「生の音へのこだわり」が阻害要因となることが示唆された.また,技能に不安をもつ児童がICTの使用で表現が可能となり,児童が変容する様子を教員が実感することが促進要因となり得ることが示唆された.
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小川 太陽, 永井 伸幸
2024 年 2024 巻 4 号 p.
100-105
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
児童生徒の健康面に留意した端末の利用に関する指導の内容(端末利用指導の内容)を文部科学省のガイドブックや対象の中学2年生の端末の利用実態をもとに検討・実施した.端末利用指導では(1)机の上の整理・整頓,(2)正しい姿勢・適切な視距離,(3)画面の角度と明るさの調整に関して授業前や机間指導の際に指導した.結果,特に正しい姿勢の保持に関して,端末利用指導の効果を確認することができた.一方で,他の指導項目を含め,その内容や指導方法に改善すべき点があった.
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水野 一成, 近藤 勢津子, 吉良 文夫
2024 年 2024 巻 4 号 p.
106-109
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
GIGAスクール政策の導入により,多くの学校で情報機器を活用した授業が実施されている.しかし,情報機器を用いた授業の内容は学校ごとに異なるため,児童・生徒の情報活用実践力にどのような影響を与えているかは不明な点が多い.本稿の目的は,GIGAスクールにおける学習内容の違いが,情報活用実践力に与える影響を明らかにすることとしている.具体的には,GIGAスクールの授業内容を6つの項目に分けて調査し,学年ごとの実施状況と情報活用実践力を比較した.分析の結果,小学生では協働学習に関連する項目,中学生では個別学習に関連する項目において,情報活用実践力の違いが見られた.
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福島 泰子
2024 年 2024 巻 4 号 p.
110-115
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
ソフトウェア開発経験が少ない社会人技術者向けに,学部レベルの情報関連科目を用いた初級教育を実施した.受講後アンケートでは,回答者の約73%が学習時に苦労したと回答し,「学習時間の不足」と「専門用語の理解」が主要な課題として挙げられた.e-Learning形式による初学者の学習を支援するため,用語集やQ&A集に加え,難しい概念を視覚的に解説する手書きの説明画像を活用した補助教材の作成を検討している.本稿では,教育の内容,アンケート結果,学習支援策について述べる.
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谷上 碧
2024 年 2024 巻 4 号 p.
116-122
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,高校生のプログラミング教育におけるMinecraft Educationを用いたゲームベース学習と従来の座学の効果を比較したものである.結果,主観的な理解度は座学が有意に高い一方で,客観的なテストの点数には有意差が見られなかった.興味・関心に関しては有意差は出なかったものの水準に近い値であり,基礎理解には座学が有効で,興味喚起や実践的スキルの向上にはゲーム教材の併用が有効である可能性が示唆された.
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―身体表現を利用した教材環境とリユース方法の視点から―
管原 月美, 小熊 心, 山口 好和
2024 年 2024 巻 4 号 p.
123-128
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
幼児・小学生やその親子連れを対象にmicro:bit,Scratch環境によるワークショップを実施した.簡単に体験できる教材,音やリズムで遊べる環境,開催形態の工夫も各回で講じた.2024年8月から10月にかけての実施を通じて,幅広い年齢・学年で遊べる教材の工夫点やプログラミングへの興味関心を惹く要点などを確認できた.同時に,参観者の反応を得る手法や扱ったデータの提供,構成環境のデータを共有,再利用する手だて等に関する課題も認識できた.
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清水 克彦
2024 年 2024 巻 4 号 p.
129-136
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
2019年度から全面実施された改訂学習指導要領下において,「総合的な探究の時間」が導入され,高等学校では「理数探究基礎」,「理数探究」が科目として導入された.探究学習についてのニーズが高まるなか,数学科における探究教材の提供はあまり進んでいない.そのようなニーズに対して,本稿ではGeobebra Classroomを利用した実験数学指向型探究Web教材を設計・開発の報告を行う.Polygon Offsettingを探究のテーマとして,動的幾何ソフトを用いた実験数学を行い探究を進めるために,MASONら(1985)の数学的プロセスに沿った「生徒の探究の姿」を実現するGeogebra ClassroomのWeb教材の構成を設計・開発し,理数探究の教材のWeb上でのアクセスを可能にした.
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田原 憲和, 南谷 真紀
2024 年 2024 巻 4 号 p.
137-144
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
大阪府立長野高等学校では生徒同士で履修している第二外国語を教え合う「教え合い授業」に取り組んでいる.それに加え,次年度に第二外国語を履修する1年生,さらには地元の公立中学校の生徒に対する「出前授業」を実施している.実施前後のアンケートを分析することで,これらの活動を通じ生徒の学習態度や意欲にどのような変化が生じたのかについて報告する.
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江添 光城, 後藤 正樹, 加藤 直樹
2024 年 2024 巻 4 号 p.
145-152
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本稿では,児童生徒の主体的な学習を促進する自己調整学習のサイクルを循環させる自己調整学習支援ツールを提案し,その設計・開発・評価実験を通して行った有効性の検証について述べる.また,中学3年生の英語授業で得られた支援ツールのスタディ・ログを分析し,自己調整学習における行動パターンを見出した.これらの可視化により,教員は児童生徒の状況を把握し,実態に応じた個別最適な指導・支援が可能となる.
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豊岡 真由, 梅田 恭子
2024 年 2024 巻 4 号 p.
153-159
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本稿では,家庭学習と連携して,学習プロセスを理解すること,自分なりの学習方法を獲得すること,自己効力感を向上させることを目的に実践を行った.実践では,家庭学習として,漢字の学習と週末のプレゼンテーション作りの活動を行い,教室で交流会を実施した.その結果,全てのスキルの向上が見られた.両実践とも,教室での家庭学習の交流会を通してこれらのスキルがより高まり,自分なりの学び方を広げていくことにつながったと考えられる.
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稲木 健太郎, 泰山 裕
2024 年 2024 巻 4 号 p.
160-167
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,小学校の授業場面に着目し,他者及び他者との情報を介した関わりを伴う自己調整の具体を捉えることを目的とした.教師1名への半構造化インタビューの結果,調査対象者の学級では,①他者と他者の情報提示により学習の援助や方向づけを受ける姿,②学習の困難さの解消や学習しやすさに向けて他者をリソースとして状況を変化させる姿,が捉えられた.こうした姿の前提として,③自己調整を阻害しない/担保する級友との関係性や,級友が外化した学習情報をクラウド上で参照可能な授業の状況もまた重要であった.クラウド環境と1人1台端末の整備による環境の変化から,クラウド上の情報を介した参照がモデリングにつながる可能性と,他者との情報の共有や参照の経路の変化にも着目した自己調整の初期の指導や支援の具体を検討する必要性が示唆された.
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森 裕生
2024 年 2024 巻 4 号 p.
168-174
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
地域志向科目のSAを対象に,SA活動が地域理解や自身の地域活動を振り返るきっかけとなっているか研究を行った.2名のSAを対象にウェアラブルカメラを装着し授業時のSA活動を撮影した.さらに,撮影した動画を用いた振り返りインタビューを実施した.その結果(1)自身の受講時とSAとして参加した授業のデザイン・課題のずれが振り返りのきっかけとなり得ること,(2)学生の活動がより創造的であることでSAの振り返りを促す機会が多くなる可能性が示唆された.
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若井 柚里, 齊藤 悠仁, 関﨑 証, 辻 義人, 宮本 エジソン 正, 冨永 敦子
2024 年 2024 巻 4 号 p.
175-180
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,対面・オンラインとコロナ前後のチュータリングにおける特徴を明らかにするため,チューターおよびチューティのチュータリングに対するアンケートを分析した.その結果,対面とオンラインではほとんど違いはなかった.一方,コロナ前後で比較すると,チュータリングのやりやすさ・受けやすさに違いがあった.また,コロナ前からコロナ後にかけて,チューター説明型からチューティ協力型のチュータリングへと変化していた.
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Gherghel Claudia, 仲田 知弘
2024 年 2024 巻 4 号 p.
181-186
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本論文は,数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)の必須科目として開講されたデータサイエンス入門における課題提出率と成績の予測要因を検討した.授業を受講した大学1年生を対象にアンケート調査を行い,データサイエンスへの興味,データサイエンス科目の受講歴,または数学力(自己報告)について尋ねた.分析の結果,データサイエンスへの興味と数学力は授業の課題提出率と成績に対して有意な正の影響を与えることが明らかになった.
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冨田 佳奈, 瀬崎 颯斗, 蜂須賀 知理, 割澤 伸一, 栗田 佳代子
2024 年 2024 巻 4 号 p.
187-194
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は,高等教育機関における初任教員の教育不安尺度の短縮版を作成し,その信頼性と妥当性を検討することである.現在高等教育機関に勤める教員を対象に,初任時の教育不安に関してインターネット調査を行った(有効回答数:277).既存の質問紙からの項目削減と因子分析を通じて短縮版尺度を作成し,3因子からなる19項目を選定した.尺度全体の内的整合性を表すα係数は0.91,日本語版教授自己効力感との有意な相関が確認され,信頼性と妥当性が検証された.
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門松 怜史, 浅山 拓哉, 加藤 由香里, 山下 幸彦, 畠山 久, 室田 真男
2024 年 2024 巻 4 号 p.
195-202
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
東京科学大学において大学教員準備講座「Preparing Future Faculty Program(PFF)」を設計するために,先行する国内大学でのプレFDを,アンケートおよびインタビューにより調査した.その結果,模擬授業を実施するためにシラバス作成および授業設計がプレFDに含まれていること,また,プログラムの単位化が進んでいることが明らかとなった.さらに,今後解決すべき課題として,受講生の確保と学内での認知向上があげられた.
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不登校生徒の談話支援に向けた新たなアプローチ
加納 寛子
2024 年 2024 巻 4 号 p.
203-210
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
近年,不登校児童生徒の急増に伴い,メタバース空間を活用した教育が注目されている.本研究では,メタバース内にAIカウンセラー「Hironya AI」を実装し,不登校生徒の学習支援を目指す.Hironya AIは,生成AI(ChatGPT)を用いて対話を行い,児童生徒の相談相手としての役割を果たすことが期待される.実装にはメタバース空間としてClusterを選定し,Unity及びGoogle Apps Scriptを用いてChatGPT APIと連携させた.本システムにより,相談者が対人恐怖傾向にある人であっても,動物の形をしたAI相手であるため,会話おける緊張や抵抗感を和らげる効果を想定した.また,教育現場における人員不足の課題解消の一助となることが期待される.なお,相談者には,児童生徒に限定せず,大学生,教師,社会人,悩めるすべての人を想定した.
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松名 由香, 辻 萌香, 舟生 日出男, 久保田 善彦, 鈴木 栄幸
2024 年 2024 巻 4 号 p.
211-216
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
近年の学力低下の問題は,教職課程の学生の教師としての実践力が低下にもつながっている.学力低下の問題はこれまで動機付け理論から扱われてきた.本研究ではその要因を,学びを愉しむ態度の欠如にあると捉え,学びを愉しむ態度を養うために,学びに対する感覚や態度の編みなおすに着目する.本発表では,教職を志望する学生を対象に,学びを愉しむ態度の編みなおしを目指し,学習内容の共有・比較を支援するシステムを開発して実践的評価を行った結果について報告する.
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―より良い授業設計を目指して―
中村 佐里, 三尾 忠男, 波多野 和彦
2024 年 2024 巻 4 号 p.
217-220
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
学生の記述から特徴的な言葉を抽出し,授業観によって「良い授業」やそれを構成する要素や条件にどのような違いがあるのかを明らかにした.授業観ごとの特徴はある程度認められたが,一方で多様な良さを感じていることも明らかとなった.また,「実際」「問題」「解く」「演習」といった単語からは,理系特有の良さや授業観を確認することができた.
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歌代 崇史
2024 年 2024 巻 4 号 p.
221-228
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
日本語教員養成課程において使用する教案自動採点システム(Tetrater)を開発した.本システムは日本語教育の初学者(実習生)の教案作成を支援するものであり,入力された教案に対する評価として,全体の点数,ターンの交代,文型の難易度などに応じたアラートを返す.本稿ではTetraterをグループ学習と組み合わせて実践環境に導入し,質問紙調査,自由記述,グループインタビューを実施した.その結果,Tetraterは実習生に新たな視点を提供することで教案の修正に有効なだけではなく,グループ学習の支援にもつながる可能性が示された.
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石川 保茂, 笠巻 知子, 高道 慎之介, 松永 裕太, 藤原 茂雄, 吉川 裕介, 坂本 季詩雄, 由井 紀久子, 梅本 貴豊
2024 年 2024 巻 4 号 p.
229-234
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,国際語としての英語(English as an International Language,以下EIL)学習プログラムを開発することを目的としている.開発にあたって,text-to-speech(TTS)とspeech-to-text(STT)技術を利用する.そして,TTS技術により生成した多様な英語変種をSTT技術とともに利用可能にするユーザインターフェイスを構築した上で,EIL学習プログラムを開発し,授業実践を通じてそのプログラムの試行・改良・一般化を図る.本稿では,本研究の背景,リサーチクエスチョン,TTS合成音声,ユーザインターフェイス,EIL学習プログラムの基本設計について報告する.
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中田 直子
2024 年 2024 巻 4 号 p.
235-241
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は,人文社会科学系修士課程の社会人大学院生修了者8名に半構造化インタビューを実施し,在学中の経験の特徴を探索的に検討した.在学中の経験として社会人は,学位プログラムのほか教育活動や課外活動への参加など大学内外の学習機会の活用を語った.社会人大学院生の活動は固定されておらず,専門領域の履修に専念して標準期間で修了する「短期集中型」と専門領域の履修に加えて多様な学習活動に取り組み修了に至る「長期充実型」の2つのパタンが推察された.
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―オープンデータをもとにしたキャリア・職業教育の展望―
齋藤 遼太郎, 杉本 英晴
2024 年 2024 巻 4 号 p.
242-248
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
研究報告書・技術報告書
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農水系専攻への進学者と卒業生の就職の特徴を明らかにするために,他専攻との比較を行った.その結果,農水系専攻への進学者は他専攻よりも大学所在地以外の出身者が多かった.また,農水系は就職先産業において,学術研究,専門・技術サービス業の割合が高まり,より農水系に密接している食料品・飲料・たばこ・飼料製造業と小売業の割合が低下していた.
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廣松 ちあき
2024 年 2024 巻 4 号 p.
249-256
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
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本研究は,育児休業取得後の女性中堅社員の仕事経験と,私生活の経験からの学びのプロセスを明らかにすることを目的とした.M-GTAを用いて,半構造化インタビューデータを分析した.その結果,子育てにともなう仕事上の制約や不自由さに向き合い,自分の思い描くやり方で仕事ができない葛藤を通じて,<仕事を引き受けることへの腹落ち>を深め,自己の役割や自分にとっての仕事の意味づけを変化させて,仕事を継続する意思を強化していることが明らかになった.
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中村 康則, 川上 祐子, 任 和子
2024 年 2024 巻 4 号 p.
257-264
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
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筆者らは,臨床現場をイメージすることが難しい学生に対し,看護過程への展開に必要な情報収集スキルを育成するためのゲーム教材『あせすまいる』を開発している.この教材は,教員がゲームシナリオを作成することで,さまざまな患者事例や臨床環境を柔軟に再現できる特徴を持つ.しかしながら,そのシナリオの作成には時間的・労力的な負担が生じるという課題が明らかとなってきた.そこで筆者らは,シナリオの作成に生成AIを導入し,その活用によって作業効率の向上とシナリオの質の確保が可能であるかについて検討した.本研究では,生成AIを用いたシナリオ作成の具体的な方法と,その結果について報告する.
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松浦 未来, 菊澤 百々菜, 小島 亜耶, 木村 秀明
2024 年 2024 巻 4 号 p.
265-268
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
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近年,教育現場においてはICT化が進展し,様々な効率的教育方法が提案・実施されている.特に,タッチディスプレイなどの電子メディアを活用した方法が注目されているが,その導入コストや維持管理コストには課題がある.本稿では,従来型ディスプレイと外部接続カメラを組み合わせた,費用対効果と利便性に優れた情報入力システムを提案し,その有効性と課題を示すとともに課題解決技術について報告する.
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黄 暐勛, 柏木 治美, 康 敏
2024 年 2024 巻 4 号 p.
269-273
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
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中国語は未修外国語として,多くの大学では一クラスの学生数が多い科目の一つである.「話す」スキルの向上のため,音声認識機能を導入した学習支援システムはすでに提案されている.一方,現行の音声認識システムは非母語者の発話をどのように評価できるかについては,十分な議論がまだされてない.本研究では中国語初級学習者の単語発音に対する複数の音声認識システムの認識結果を明瞭性の尺度から教師による評価結果と比較して分析した.結果,明瞭性の低い単語発音については,システムによって評価が分かれたことを明らかにした.
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周 景龍, 中村 康則, 樋口 耕一
2024 年 2024 巻 4 号 p.
274-281
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
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従来型統計を用いた計量テキスト分析は,プロセスの明瞭性と検証可能性を備えた信頼できる内容分析の方法である.一方で,その結果解釈には分析者に一定の統計リテラシーと想像力が求められるため,解釈の質が分析者の力量に大きく左右されるという課題がある.そこで本研究では,KH Coderを用いた計量テキスト分析に対し,生成AIを補完的に活用することで,この課題に対応できるかどうかを検証した.その結果,KH Coderの再現可能な分析結果を研究者が確認しつつ,生成AIの出力を一つのヒントとして活用すれば,結果解釈の信頼性と質の底上げに寄与できることが確認された.
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木村 千夏
2024 年 2024 巻 4 号 p.
282-289
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
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本研究では,法科大学院の反転授業において積極的な予習動画の視聴に影響を与える要因を探索的に検討した.学生へのアンケート調査とインタビュー調査によって,「深い学習アプローチ,小テスト,基礎知識,判例の背景,視覚と聴覚,スライド,自由視聴,仕組み,口頭試問,期末試験」の10要因が見いだされた.また,法科大学院の反転授業特有の要因としては,学生は予習動画で判例の背景が説明されることにメリットを感じていること,口頭試問が予習動画を再度視聴するきっかけとなり,内化と外化の往還の機会を増やしていることが示された.
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Eriko Kiyoshima, Yasunari Yokota
2024 年 2024 巻 4 号 p.
290-295
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
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It is difficult to consistently apply the same criteria to all students for written assignments, especially when there are a large number of students. In this study, a report grading method that introduces mutual evaluation among students and grader evaluation was applied to a written assignment for an on-demand class with more than 1,000 students that the author oversees, which is scheduled to be submitted to this conference. The results showed that 1. The correlation between the results of the scoring by the method and the results of the teachers' scoring was very high and that it was effective as a scoring method, and 2. furthermore, by analyzing the results of the peer evaluation, it contributed to the improvement of teaching.
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三井 規裕, 小林 珠子, 櫛井 亜依, 鈴木 小春, 林 玲穂, 星 愛美, 長内 遥香
2024 年 2024 巻 4 号 p.
296-299
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
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大学はグループ学習型授業を取り入れ,授業改善を進めている.しかしながら,学生は受身的で消極的になりつつあることが報告されている.原因の1つとして,学生がグループ学習型授業に対して感じる不安がある.本研究では,不安の改善を意図したアイスブレイクおよびワークの実施が,グループ学習型授業に対する学生の不安にどう影響するかを検討した.その結果,学生の授業に対する心理的安全性に関する尺度の平均値が高くなり,自由記述からは授業内での教員や学生同士の会話の頻度が不安の改善に影響していた事が示唆された.
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吉良 絵里
2024 年 2024 巻 4 号 p.
300-304
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
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2020年頃より感染拡大防止のため,ウェビナーなどオンラインツールが非常に発達した.教室で数十人が集まって講義を聞くことはできないため,当時オンラインで実施する授業が増えていった.対面で受講する教室での講義が増えている今,仕事をしながら学ぶ社会人学生は教室とオンラインどのように受講方法を選択したかを調査し,今後の社会人教育における実施形態はどのようにあるべきかを検討する.
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一戸 智之
2024 年 2024 巻 4 号 p.
305-312
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
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本研究では,教員養成課程に所属するピアノ初学者が技能修得過程で直面する課題を質的データの分析を通じて考察する.具体的には,学修の進展に伴う動機づけ要因,学修上の障壁,楽譜読解の習熟度及び協調学習における他者との相互作用に着目し,これらが学修過程に及ぼす影響を包括的に検討する.これらの知見に基づき協調学習を促進するピアノ基礎技能修得テキストの開発に向けて学修理論の枠組みを構築し,新たなピアノ学修プログラムを提示するための示唆を得ることを目指す.
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―京都外国語大学の学生への意識調査を通して―
佐藤 晶子, 河野 弘美, 稲垣 勉
2024 年 2024 巻 4 号 p.
313-320
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
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多文化・多言語共生社会に向かう中,学校教育を含む行政,医療や法律の領域で,多言語での生活情報提供の重要性が高まっている.京都外国語大学は2024年度から多文化共生社会の一翼を担う人材育成として「コミュニティ通訳者育成プログラム」を開始した.本研究では,学生はどのコミュニティ通訳領域に興味を持ち,どのような知識の変容を示したのかの現状分析をし,プログラムへの課題と提案を明らかにしていく.
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末永 弥生, 蔵谷 範子, 吉村 恵美子, 尾立 篤子, 海津 真里子
2024 年 2024 巻 4 号 p.
321-328
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
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発達障害傾向のある看護大学生の技術演習で感じる困難と学びの様相を明らかにするためにインタビューした12名のうち発達障害傾向が感じられた5名のインタビュー内容をSCATを用いて分析した.その結果,「視覚情報の意味を捉えることが苦手」,「人と関わるのが苦手」,「情報を素早く整理・判断することが苦手」,「段取りを考えた実行が苦手」といった学習上の困難と,「身を結ばない学習方法」,「現状から抜け出したい思い」,「学びの実感と自身の可能性への期待」という学びの様相が明らかになった.
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家本 繁, 永原 健大郎
2024 年 2024 巻 4 号 p.
329-336
発行日: 2024/12/07
公開日: 2024/12/09
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2015年に行われたIEAのTIMSS調査でも,数学・理科の学習に対する興味・関心・意欲に課題があると指摘されている他,指導のノウハウに関する共有が脆弱である点,多彩な学問分野の統合に対する期待などを背景として,教科「理数」が新設された.本発表では,2021年度に中央大学杉並高校の2年生を対象に,「理数探究基礎」の導入教材としてボロノイ図を用いた探究学習教材を開発し,実践した成果について報告する.
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