日本食品工学会誌
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原著論文
高圧処理による玄米のグルタミン酸からγ-アミノ酪酸へのバイオコンバージョン
重松 亨村上 美奈中島 加奈子宇野 義幸坂野 新太楢原 優佳林 真由美上野 茂昭藤井 智幸
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2010 年 11 巻 4 号 p. 189-199

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抄録
本研究では,玄米にグルタミン酸を供給し高圧処理を施すことで,グルタミン酸からγ-アミノ酪酸(GABA)への変換反応への高圧処理の効果を検討した.水浸漬した玄米に200 MPa,10分間の高圧処理を施し,その後の保存中における遊離アミノ酸組成の変動を解析した.25℃4日間の保存期間に高圧処理玄米中のGABAを含むいくつかのアミノ酸の濃度が経時的に増加し,未処理試料に比べて高い値を示した.高圧処理を施した玄米粒をバイオリアクタとして用いGABAを生産する可能性を検討するために,玄米の浸漬水中にグルタミン酸を添加し高圧処理を施す実験を行った.その結果,浸漬液中のグルタミン酸濃度の増加に伴い,保存中のGABA濃度が増加し,GABA生成初速度は高圧処理により加速された.これらの結果から,高圧処理によりアミノ酸代謝が促進され,有用代謝産物を蓄積する,新しい用途の可能性が示された.
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© 2010 一般社団法人 日本食品工学会
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