抄録
本報では,製造条件の異なる数種類のスパゲティを対象として,機械的性質の観点から茹でた後の特性値の違いを実験的に調査した.また,乾燥スパゲティと生スパゲティの機械的な特性値を,含水率や電子顕微鏡による表面観察結果と総合して評価し,スパゲティの品質に影響を与える因子について考察した.
その結果,乾燥スパゲティの高温乾燥工程により澱粉が老化澱粉へと変質したこと,ならびに物理的に乾燥スパゲティに「アルデンテ」の芯が残存すること,の両点がスパゲティの食感に大きな影響を与えていることがわかった.芯の残存は乾燥スパゲティでは避け得ないが,澱粉の変質は製造時の乾燥条件に大きく依存する.したがって,スパゲティの品質や食感に最も影響を与える因子は,本報の範囲内では乾燥条件であると考えた.
今回のこれらの調査結果は,今後のスパゲティ麺の食感向上に設計指針として役立つと考えられる.