発光ダイオード(LED)は,機能性食品生産のための有望な光源である.本研究では,ブロッコリースプラウト栽培におけるアントシアニン含量に及ぼすLED照射パターンの影響を検討した.その結果,赤,緑,青のそれぞれ単色のLEDを照射したところ,青色光の単色照射が最も効果的であった.赤と青の混色照射は同じ光合成光量子束密度(PPFD)の青色光の単色照射と同程度であった.赤色光照射後,青色光を追加照射した方が,赤色光を追加照射したときに比べてアントシアニン含量が高くなった.また,追加照射した青色光のPPFDが高いほど,アントシアニン含量が高くなった.40時間の栽培期間中の暗期はアントシアニンの蓄積に影響しなかった.パルス照射下では,デューティー比が高くなるほど,アントシアニン含量が高くなった.パルス周期は,0.2-20 msの範囲ではアントシアニン含量に影響しなかった.全照射期間における全光量子数が同じであれば,アントシアニン含量に及ぼす連続照射とパルス照射の効果に違いはなかった.これらの結果より,ブロッコリースプラウトにおける効率のよいアントシアニン生産には,より高い光強度の青色光をより長い時間照射することが重要であることが示唆された.
ブシュカンは,高知県の四万十市で多く栽培されている香酸柑橘の1つである.ブシュカンは特徴的な芳香をもち,四万十市域では果汁とともに果皮も利用され,香りが楽しまれている.一方で,商業的に果汁を搾ったあとの果皮は廃棄物となるため,その利用を試みた.果皮に新たな付加価値を付与することを目的として,乳酸桿菌を用いた乳酸発酵を行った.ブシュカンの花から新たに分離したLatilactobacillus sakei,石鎚黒茶由来のLactoplantibacillus plantalumまたはLevilactobacillus brevisと,ペースト状にし,スクロースを添加したブシュカン果皮とを混合し,37℃で4日間保持した.4日後のブシュカンペーストでは,酸度の上昇とpHの低下がみられた.また,乳酸量が増加していたことから,乳酸発酵が行われたと考えられた.L. sakeiおよびL. plantarumによる発酵物について,d-アミノ酸の産生が認められた.これらのことから,ブシュカン果皮の乳酸発酵は,果皮に機能性を付与し,新たな利用可能性を与えると考えられる.