日本食品工学会誌
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原著論文
植物工場における機能性食品生産を目的としたブロッコリースプラウト中のアントシアニン含量に及ぼすLED照射パターンの影響
香田 次郎佐々木 理緒鈴木 陸人釘宮 章光中野 靖久鷹野 優
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2022 年 23 巻 3 号 p. 71-83

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抄録

発光ダイオード(LED)は,機能性食品生産のための有望な光源である.本研究では,ブロッコリースプラウト栽培におけるアントシアニン含量に及ぼすLED照射パターンの影響を検討した.その結果,赤,緑,青のそれぞれ単色のLEDを照射したところ,青色光の単色照射が最も効果的であった.赤と青の混色照射は同じ光合成光量子束密度(PPFD)の青色光の単色照射と同程度であった.赤色光照射後,青色光を追加照射した方が,赤色光を追加照射したときに比べてアントシアニン含量が高くなった.また,追加照射した青色光のPPFDが高いほど,アントシアニン含量が高くなった.40時間の栽培期間中の暗期はアントシアニンの蓄積に影響しなかった.パルス照射下では,デューティー比が高くなるほど,アントシアニン含量が高くなった.パルス周期は,0.2-20 msの範囲ではアントシアニン含量に影響しなかった.全照射期間における全光量子数が同じであれば,アントシアニン含量に及ぼす連続照射とパルス照射の効果に違いはなかった.これらの結果より,ブロッコリースプラウトにおける効率のよいアントシアニン生産には,より高い光強度の青色光をより長い時間照射することが重要であることが示唆された.

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© 2022 一般社団法人 日本食品工学会
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