日本食品工学会誌
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新奇な技法による食品有用資源の解析とその応用
邱 泰瑛
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2025 年 26 巻 1 号 p. 11-20

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抄録

本研究は,亜臨界流体を用いる新奇抽出法の開発,ならびに,技術革新による発酵食品の菌叢解析の実践,および未知微生物の新奇な単離方法に関する.食品由来成分の効率的抽出法の確立を目標に,含水有機溶媒を用いる亜臨界流体抽出法を考案した結果,従来の亜臨界水抽出法に比べて抽出効率が向上することを見出した.さらに,小スケールの亜臨界抽出反応システムを開発し,和種薄荷精油の主要成分に対する熱分解特性の解明に応用した.また,伝統自然発酵食品である野菜発酵液(コウソ液)の菌叢解析を行い,未知の乳酸菌が優勢的に存在することを見出した.本菌は難培養菌の特性を有し,当初は純粋培養ができなかったが,筆者が考案した特殊な分離方法により純粋培養に成功し,単離した新菌をApilactobacillus kosoi と命名した.さらに,共同研究により,本菌の腸管免疫賦活活性が非常に高く,その細胞壁成分に含まれる新奇リポテイコ酸が免疫賦活に寄与していることを明らかにした.

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© 2025 一般社団法人 日本食品工学会
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