日本食品微生物学会雑誌
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原著
飼料および食品製造施設で用いるサルモネラ属菌分離のための遅延二次増菌培養法の評価
盛田 隆行北澤 秀基村山 靖之
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2010 年 27 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

飼料および食品製造施設で使用するサルモネラ属菌の効率的な分離法を確立するために,家禽衛生の分野で実績のあるHTTを用いたDSE法の評価を行った.
油粕の計182検体を用いて,前増菌培養液および選択増菌培地容量の増量による検出状況を評価した.検査結果が異なった検体は2検体(1.1%)であり,χ2-検定の結果,両培地容量を用いた方法に有意差はなかった(p<0.05).
油糧原料および環境ふき取り材料の計126検体を用いた評価では,DSE法は18検体(14.3%)からサルモネラ属菌が検出され,最も検出率が高かった.次いで,HTT-DHL法およびHTT-CAS法で,ともに16検体(12.7%)から検出された.なお,DSE法はHTTの1回培養では分離できなかったO抗原群菌を複数の試料で確認することができた.DSE法は検出感度が高く,分離株の血清群は従来の増菌培養法とは異なる可能性のあることが示唆された.また,簡便な手法であるため,疫学解析を目的とした増菌培養法として非常に有効であると考える.

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© 2010 日本食品微生物学会
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