日本食品微生物学会雑誌
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原著
横浜市内の小売店より収去した国産鶏肉から分離された Salmonella enterica subsp. enterica Serovar Infantisにおける薬剤感受性の状況および基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌の検出状況について
松本 裕子泉谷 秀昌山田 三紀子小川 敦子高橋 一樹小泉 充正武藤 哲典寺嶋 淳渡邊 治雄
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2010 年 27 巻 1 号 p. 27-33

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抄録
2002年4月から2008年3月の6年間に横浜市内の小売店で収去した国産鶏肉から分離されたSI 210株について,薬剤耐性サルモネラの検出状況を調査する目的で薬剤感受性試験を行った.その結果,194株(92.4%)が何らかの薬剤に耐性を示した.特に sulfisoxazole, streptomycin, kanamycin の3薬剤に対する耐性株数が多い傾向が見られた.
フルオロキノロン耐性株は検出されなかったが,ESBL産生株が5株(2.4%)分離された.β-ラクタマーゼをコードする遺伝子を検索した結果,blaTEM-20保有株が1株,blaTEM-52保有株が3株,blaCTX-M-2保有株が1株検出された.また,セファマイシン耐性でblaCMY-2を有する株が6株検出された.TEM-20型ESBLを産生する Salmonella enterica serovar Infantis の報告は,本報告が初めてであった.また,これら11株のうち6株を検出した鶏肉が,同一の会社から年をまたがって出荷されていることが判明した.
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© 2010 日本食品微生物学会
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