食品と微生物
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液卵の微生物汚染と液卵中でのサルモネラ, 病原大腸菌の消長
塩沢 寛治杉枝 正明林 道明半田 淑明仁科 徳啓中津川 修二赤堀 港治
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1988 年 5 巻 2 号 p. 113-120

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抄録

厚生省が公表した畜水産食品の微生物規格案 (昭和62年) の「液卵の微生物規格」にもとづき, 一液卵製造施設の未殺菌液卵及び殺菌液卵の細菌数, 大腸菌群, サルモネラ汚染状況を調査した. 本調査においてサルモネラの汚染等が著しかったので, 工程中における汚染防止と汚染源追求の目的で, 工程別のふきとり検査や原料卵等の検査を行った. その結果, 原料卵の卵殻が汚染源として重要であり, 洗卵時の塩素消毒 (200ppm) が汚染除去に有効であることが判明した. 原料卵の消毒や施設内のパイプライン等の洗浄, 消毒の徹底を指導した後の検査では, 液卵の汚染を大幅に減少させることができた.
また液卵ヘサルモネラ (3血清型), 病原大腸菌 (4血清型) を実験的に接種し, 25℃, 5℃, -20℃における各菌の増殖, 生存について検討したところ, 卵黄は両菌種の増殖に適していたが, 卵白は両菌種の増殖を抑制した. なお, 液卵中の両菌種は凍結によっても菌数の減少はほとんどみられないことがわかった.

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© 食品衛生微生物研究会
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