日本食品微生物学会雑誌
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Aspergillus fumigatus No.232株のアラビノガラクタン分解条件について
藤田 藤樹夫岩井 和也久守 博中林 義晴森 茂米虫 節夫
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1996 年 13 巻 3 号 p. 103-109

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抄録

1. β- (1→3) -D-アラビノガラクタン分解の酵素活性を示したNo.232株を生コーヒー豆から分離し, この菌株を形態学的特徴からAspergillus fumigatus Fres.に同定した.
本菌株はβ- (1→3) -D-アラビノガラクタン分解に適応できる有望な菌株であると判断した.
2. β- (1→3) -D-アラビノガラクタン分解酵素の生産条件として, 培地中の窒素源はメチオニン, プロリンが, 培地pHは7.0, 培養温度は40℃, 培養日数は7日間が最も良好であり, 培養後の酵素活性は, スクリーニング時の0.04units/mlと比較して2倍に増加した.
3. 本菌株は, β- (1→3) -D-アラビノガラクタン分解酵素を生産していることを確認した.また, アラビノガラクタンを構成している単糖, もしくはダイズ, コムギ由来のβ- (1→4) -D-アラビノガラクタンを炭素源とした場合, β- (1→3) -D-アラビノガラクタン分解酵素はほとんど誘導されなかった.
これらの結果, および今後本菌株の酵素生産における培養条件が明らかになるにしたがって, 微生物を利用しアラビノガラクタンを低分子化させる可能性があることを示唆した.

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