日本食品微生物学会雑誌
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殻付卵表面の細菌汚染状況とその汚染源に関する研究
栗原 健志今井 忠平後藤 公吉小沼 博隆品川 邦汎
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1996 年 13 巻 3 号 p. 111-116

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抄録

卵殻表面の細菌汚染状況とその汚染源を追及するため, 食鳥処理場および養鶏場から種々の鶏卵を採取し, 検査を行った.産卵前の卵管内の鶏卵では90% (55/60個) の卵からは菌が検出されなかった.産卵直後無菌的に採取した卵では, 約104CFU/卵レベルの汚染が認められた.産卵後通常の移送装置により隣接するGPセンターに搬入された卵では, 汚染はさらに増加し105CFU/卵の細菌が検出された.洗浄・消毒した卵を用いて場内の各移送装置別に調べたところ, いずれの工程においても103~104CFU/卵の汚染が認められた.さらに場内の施設, 工程および空気環境などから分離した菌叢を調べた結果, 産卵直後ではグラム陰性菌が多少見られるが, 産卵後移送工程が進むにつれて陽性菌が主体を占めた.以上の結果から鶏舎内の塵埃の除去, 卵と接触する設備の洗浄・消毒などにより, 卵表面の汚染菌数を減らすことが重要であると考えられる.

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