日本食品微生物学会雑誌
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サルモネラ特異的gatD遺伝子領域のPCR増幅によるサルモネラ迅速検出
宮本 敬久スッサイティー ワーニッチ本城 賢一波多野 昌二
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1999 年 16 巻 2 号 p. 99-109

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抄録
サルモネラのガラクチトール1リン酸脱水素酵素をコードするgatDの遺伝子のサルモネラ特異的領域を増幅させるPCR法によるサルモネラ簡易迅速検出法を開発した.gatD遺伝子のサルモネラ特異的領域の増幅のための4種のプライマーP1, P2, P3, P4を合成し, P1-P3, P2-P4およびP3-P4の3つの組み合わせでPCRを行った.21血清型24株のサルモネラのゲノムDNAを試料とした場合には, これらGatDプライマーセットでそれぞれ約780,140および920bpの単一のPCR産物が増幅された.24株のサルモネラ以外の細菌のゲノムDNAでは, どのプライマーセットを使用してもPCR産物の増幅は認められなかった.これらのPCRバンドは180個のSalmonella Typhimurium菌体から調製したDNA試料でも検出できた.各種菌数のS. TyphimuriumおよびEscherichia coliを接種した滅菌鶏肉を試料としてEEM培地で42℃, 6時間増菌培養後, この培養液5mlをズルシトールー塩化マグネシウムーピリジンスルホン酸-ブリリアントグリーンーノボビオシン培地45mlに接種してさらに42℃, 18時間選択培養した.培養液から煮沸法で調製したDNAを鋳型とし, 本GatDプライマーセットを用いるPCR法により, 2.1×106cfu/259のE. coliを接種した試料でも1.7cfu/25gのS. Typhimuriumを検出できた.
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