日本食品微生物学会雑誌
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ウイルス性食中毒の発生の特徴
福田 伸治高尾 信一桑山 勝島津 幸枝宮崎 佳都夫
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2003 年 20 巻 4 号 p. 203-209

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抄録
1999年10月から2002年5月の冬季3シーズンにおいて, 広島県内で発生したウイルス性集団発生事例15件を対象に, その発生特微を検討し, 次の結論を得た.
1. 事例15件中14件はNVに起因し, 1件はSVによるものであった. これらの患者の潜伏期間は30時間から40時間であった.
2. NVおよびSV事例の患者症状は, 下痢以外に嘔吐, 悪心を伴うことが多く認められたが, SV事例ではNV事例に比し嘔吐を呈する割合が少ない傾向が見られた.
3. ウイルス性集団発生事例の感染経路は (1) ヒトからヒトへの伝播によるもの, (2) 調理従事者によるウイルス汚染された食品の摂取によるもの, および (3) ウイルス汚染カキの摂食によるもの, に大別された. しかし, ウイルス性食中毒の多くは, 調理従事者の保有ウイルスが調理器具あるいは食品などを介して感染し, 発症する可能性が示唆された.
4. NV食中毒ではその遺伝子型は2型によるものが多かった.また, Fukudaら のプローブ型ではG2F型が多く, 次いでG2E型, GlA型であり, 年によりその型は異なることが示唆された. また, カキが原因あるいは疑われる事例では, 複数の型のウイルスが関与していることが認められた.
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