抄録
3株のA. acidoterrestrisのgyrB遺伝子塩基配列を決定し, その他のAlicyclobacillus属細菌由来gyrB遺伝子塩基配列と相同性解析を実施したところ, gyrB遺伝子はA. acidoterrestris内で高度に保存されていることがわかった (97.6%以上).その結果をもとに, A.acidoterrestrisに特異的な領域を含むプライマー領域の検索を行ったところ, 5種類のプライマー (フォワード・プライマー: 3種類, リバース・プライマー: 2種類) を設計することができた.このプライマーの総当たりの組み合わせで, A. acidoterrestris由来DNAを鋳型にPCR反応を実施したところ, いずれの組み合わせにおいても目的の長さの断片が増幅された.他方, A.acidoterrestris以外の菌種については, 一部の菌株で目的の断片長ではない増幅産物が見られたが, ほとんどの場合で増幅産物は見られなかった.さらに, それらのプライマー領域をLAMP法へ応用したところ, A.acidoterrestrisのみに遺伝子増幅が起こることが確認された.以上のことから, 設計したプライマーを用いてPCR-電気泳動法あるいはLAMP法を行うことにより, A. acidoterrestrisを正確かっ短時間で鑑別可能であることが示された.