2016 年 80 巻 1 号 p. 27-34
1990年代以降の温暖レジーム下,とくに北日本でブリ類の漁獲量増加が報告されるなか,これまであまり注目されなかった分布の南縁部である鹿児島県海域における漁獲量の推移を整理し,全国の動向と比較した.またブリ類漁獲量の重心を求め,その変動を把握するとともに,レジームシフト,海面水温変動および漁獲量変動との関係を調べた.全国と鹿児島県のブリ類漁獲量の長期変動の間には有意な負の相関関係が認められ,前者の増加(減少)から4年程度遅れて後者が減少(増加)する傾向が認められた.我が国周辺の中緯度域の海面水温が上昇すると漁獲量重心が北東方向へシフトする傾向が認められ,また漁獲量重心の変動はレジームシフトに対応しており,寒冷期には南西方向へ,温暖期には北東方向へシフトすることが明らかになった.これら水温環境の変化に対応したブリ資源の分布域の変化によって,全国と鹿児島県の相反する漁獲量変動のメカニズムが説明された.