2024 年 88 巻 3 号 p. 178-189
高気圧性渦は熱や物質の水平・鉛直輸送を通じて生物生産に影響を与える.魚類マイクロネクトンは遊泳移動することで物質循環において重要な働きを担うが,高気圧性渦による物理場の変化が魚類マイクロネクトンへ与える影響は未解明な点が多い.本研究では黒潮親潮混合域においてUnderway CTDおよび計量魚群探知機を用いた高気圧性渦の高解像度観測を行い,高気圧性渦が魚類分布に与える影響を調べた.観測された高気圧性渦は,黒潮続流から切離されて形成されており,高温高塩分水を保持していた.周波数38 kHzの体積後方散乱強度SVに,75 dbarおよび400 dbar付近で等密度線に沿った魚類によるものと推察される強い反応が確認された.渦内部の魚類の平均分布水深は渦外部と比較して表層で13–19 dbar,中深層で27–37 dbar深くなった.また,渦内部では渦外部と比べて平均SVが高くなっており,魚類の個体数密度が高かった可能性が示された.