家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集2:家族性大腸癌診療における標準化の意義と課題
家族性大腸腺腫症に対する予防的大腸手術の治療戦略
小山 基村田 暁彦坂本 義之諸橋 一木村 憲央袴田 健一森田 隆幸
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2010 年 10 巻 1 号 p. 27-31

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抄録
目的:家族性大腸腺腫症(FAP)に対する予防的大腸手術の治療戦略について,術式別の長期術後成績とAPC遺伝子変異部位からみた臨床的特徴により検討を加えた.対象:過去35 年間のFAP 73 例を対象とした.術式の内訳は回腸直腸吻合術(IRA)30 例,回腸肛門管吻合術(IACA)22 例,回腸肛門吻合術(IAA)8 例,その他13例.APC 遺伝子変異部位の検索にはProtein Truncation Test(PTT) 法を用いた.結果:平均追跡期間21.7 年でIRA は30 例中9 例(30%)で残存直腸発癌を認め,5 例が残存直腸発癌のため死の転帰をとった.IACA とIAAでは術後11.4 年と15.8 年の長期経過において残存直腸発癌は認めていない.密生型の28 例のうち24 例はsystem C, D(C: codon 658–1283, D: 1099–1700)領域の変異であり,特に直腸密生型の15 例中11 例はsystemD であった.平均発癌年齢はsystem A, B(A: codon 2–479, B: 348–785 )が42.3 歳,system C, Dが28.8 歳で,system C, D では密生型や若齢での進行癌が多く認められた.結語: system C, D の症例に対しては診断が確定した時点でIAA を施行すべきであり,system A, B では20 代前半までにIACA を選択すべきである.一方,IRA の適応は高齢者のattenuated FAP などのきわめて限られた症例であることが確認できた.
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© 2010 The Japanese Society for Familial Tumors
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