抄録
内科医の日常診療において家族性腫瘍に出会う頻度は多いとはいえないが,家族性腫瘍の知識をもって診療に当たることは家族性腫瘍を見逃さず,適切なフォローアップやスクリーニング検査を推奨する上で非常に重要といえる.そのためには,まず家族歴をできるだけ詳細に聴取することや典型的な身体所見に注意することにより家族性腫瘍を見落とさないことが必要である.また,家族性腫瘍に関する知識を発端者および家族に提供し適切なカウンセリングを行うことは,発端者の診療だけでなく保因者の発症を早期に発見するために必要である.本稿では家族性腫瘍に注意しながら内科診療を行うことの重要性について実例を挙げながら概説する.