プール育苗条件下における菜種油粕・魚粉と床土原土との混和後静置期間が土壌の無機態窒素量,苗の窒素含有量,および水稲の有機苗の生育に及ぼす影響を,2013年,2014年の2か年にわたり検討した.その結果,菜種油粕・魚粉の床土原土への混和後静置期間が4週間まで長くなればなるほど,土壌中の無機態窒素量や水稲苗の窒素含有量の値が増大し,無機態窒素量は,水稲苗の草丈,窒素含有量,生育むらと有意(P<0.05)な正の相関関係を示した.水稲苗の窒素含有量の値は,水稲苗の草丈,乾物重,生育むらの値と有意(P<0.05)な正の相関関係を示した.すべての水稲苗の葉齢は,中苗の基準を満たした.播種4週前混和後静置した培土で育成した水稲苗は,生育むらの発生が懸念されたが,有機中苗の草丈の基準14 cm以上を満たす可能性が指摘された.また,菜種油粕・魚粉を播種当日に混和した培土で育成した水稲苗は,稚苗の草丈の基準12 cmに達しないものの,生育むらの程度は小さかった.機械による早期移植を前提とした場合,播種1週間前に混和後静置した培土は,葉齢は中苗の基準を,草丈は稚苗の基準12 cmを満たすとともに,生育むらの程度が小さく,最適な有機苗と考えられた.