目的:本研究は,健常な後期高齢者を対象に,咀嚼能力の維持・向上を期待した簡便なトレーニング方法を検討することを目的とした。
方法:千葉県八千代市とその周辺地域在住の健常な後期高齢者30名(男性:9名,75~89歳,女性:21名,75~89歳)を対象とした。簡便なトレーニング方法としてガム嚙みトレーニングを1日3回30日間実施した。咀嚼能力は,グミ嚥下閾(ストローク),グミ嚥下閾(時間),咀嚼チェックガムで,嚥下能力は,反復唾液嚥下テスト(Repetitive saliva swallowing test:RSST)で,身体機能は,開眼片足上げで評価した。
結果:咀嚼能力はグミ嚥下閾(ストローク),グミ嚥下閾(時間),咀嚼チェックガムともに有意に向上した。嚥下能力に変化はなかった。身体機能は有意に向上した。
結論:ガム嚙みトレーニングを30日間実施することによって咀嚼能力や身体機能が向上したことは,ガム嚙みトレーニングが優れた機能訓練方法であることを示した。