老年歯科医学
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33 巻, 2 号
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総説
原著
  • 中澤 正博, 森 宏樹, 半田 潤, 佐藤 輝重, 小島 武文, 大木 志朗, 浜 洋平, 戸原 玄
    2018 年 33 巻 2 号 p. 63-69
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/27
    ジャーナル フリー

     目的:本研究は,健常な後期高齢者を対象に,咀嚼能力の維持・向上を期待した簡便なトレーニング方法を検討することを目的とした。

     方法:千葉県八千代市とその周辺地域在住の健常な後期高齢者30名(男性:9名,75~89歳,女性:21名,75~89歳)を対象とした。簡便なトレーニング方法としてガム嚙みトレーニングを1日3回30日間実施した。咀嚼能力は,グミ嚥下閾(ストローク),グミ嚥下閾(時間),咀嚼チェックガムで,嚥下能力は,反復唾液嚥下テスト(Repetitive saliva swallowing test:RSST)で,身体機能は,開眼片足上げで評価した。

     結果:咀嚼能力はグミ嚥下閾(ストローク),グミ嚥下閾(時間),咀嚼チェックガムともに有意に向上した。嚥下能力に変化はなかった。身体機能は有意に向上した。

     結論:ガム嚙みトレーニングを30日間実施することによって咀嚼能力や身体機能が向上したことは,ガム嚙みトレーニングが優れた機能訓練方法であることを示した。

調査報告
  • 中嶋 千惠, 山本 一彦, 青木 久美子, 桐田 忠昭
    2018 年 33 巻 2 号 p. 70-78
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/27
    ジャーナル フリー

     口腔衛生管理は口腔内への細菌の飛散を伴う。そのため要介護者において汚染物の回収は重要であるが,統一された手技はない。今回われわれは,口腔衛生管理の手技としてのスポンジブラシによるふき取り操作が,吸引器を併用した口腔清掃時に口腔衛生の改善に有効な手技となりうるか検討した。対象は介護療養病床に入院中の要介護高齢者62名とした。昼食後に歯科衛生士により口腔衛生管理が施行された。舌背の細菌は口腔衛生管理開始前,歯・粘膜の清掃後のスポンジブラシによるふき取り前,スポンジブラシによるふき取り後の3時点に採取し,細菌数は細菌カウンタ(パナソニックヘルスケア社製)で測定した。舌背の細菌数は,3時点で統計学的に有意差が認められた。スポンジブラシでのふき取り操作は,吸引器を併用した口腔清掃後に細菌数を有意に減少させた。口腔衛生管理開始前の細菌数は,患者背景が非経口摂取,残存歯数10以上で有意に多かった。口腔衛生管理開始前の細菌数が多いと,ふき取り操作は有意に細菌数を減少させた。口腔衛生管理開始前の細菌数が少ないと,細菌数は歯・粘膜の清掃後にいったん増加し,ふき取り操作によって口腔衛生管理前より減少した。これらの結果より,スポンジブラシでのふき取り操作は清掃時に吸引器を併用していても,口腔清掃で拡散された汚染物の回収に有効な手技となりうると考えられた。

  • 太田 緑, 上田 貴之, 小林 健一郎, 櫻井 薫
    2018 年 33 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/27
    ジャーナル フリー

     目的:日本老年歯科医学会では,2016年に口腔機能低下症を定義した。本研究の目的は,地域歯科診療所受診者における口腔機能低下症の罹患率と各項目の低下の実態を調査することである。

     方法:地域歯科診療所(東京都)外来患者で,口腔機能検査を実施した成人189名(男性83名,女性106名,平均年齢51±16歳)を対象とした。口腔不潔は舌背の総微生物数,口腔乾燥は舌背湿潤度,咬合力低下は残存歯数,舌口唇運動機能低下はオーラルディアドコキネシス,低舌圧は最大舌圧,咀嚼機能低下はグルコース溶出量によった。嚥下機能低下はEAT-10を実施していないため,基本チェックリストを用いた。分析は,各項目の該当率と口腔機能低下症の罹患率を算出した。

     結果と考察:該当項目別には,口腔不潔90.5%,口腔乾燥70.9%,咬合力低下13.2%,舌口唇運動機能低下56.6%,低舌圧21.2%,咀嚼機能低下7.9%,嚥下機能低下0%であった。患者ごとの該当項目数は,6項目2.6%,5項目5.3%,4項目9.0%,3項目32.3%,2項目35.4%,1項目14.8%,0項目0.5%であり,49.2%が口腔機能低下症と診断された。また,口腔機能低下症の罹患率は,年齢群が上がるにつれて増加することが明らかとなった。

     本研究結果より,地域歯科診療所受診者においては約半数が口腔機能低下症と診断され,高齢期以前から口腔機能が複合的に低下していることが判明した。

活動報告
  • 齋藤 寿章, 富永 一道, 西 一也, 清水 潤, 𠮷川 浩郎, 井上 幸夫
    2018 年 33 巻 2 号 p. 85-93
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/27
    ジャーナル フリー

     島根県歯科医師会は,平成24年度から5年間,島根県からの委託事業「高齢者の低栄養予防対策事業」を行った。

     平成24年度は,口腔機能が栄養に及ぼす影響についての文献調査を行った。過去20年間の和文文献中49件を文献調査対象として報告書にまとめた。また,MNA®-Short Formを使用した調査では,歯科診療所に通院する256名の高齢者のなかで約1/3の者が低栄養あるいは低栄養のおそれありであった。

     平成25年度は,高齢者の口腔機能と栄養の関連性を調べるためMNA®-Full Versionを使用した。調査の結果,口腔機能の多くの評価項目と栄養との関連が示された。特に,たんぱく質の摂取と果物・野菜の摂取には,口腔機能の客観的評価項目が共通して関連していた。

     これを受けて歯科医療と栄養が連携した取り組みが必要と考え,平成26年度から28年度にかけて,島根県栄養士会が運営する栄養ケア・ステーションを活用し,低栄養の疑いのある高齢者に対して管理栄養士と協働した栄養指導を行った。各年度末には事業報告を行うとともに講師を招聘し研修会を開催した。栄養士と連携した歯科治療,保健指導(栄養指導)は参加者に好評で,拡充した取り組みが必要であると思われた。また,島根県歯科医師会の関連事業(益田市日常生活圏域ニーズ調査解析事業,後期高齢者歯科口腔健診,8020公募研究事業)と連携しながら低栄養予防の普及啓発とオーラルフレイル対策への展開を図っている。

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